最近の大河ドラマは、
原作なしのオリジナル作品が続いています。
もちろん今回の真田丸もですし、
来年のおんな城主直虎も。
龍馬伝以降、8年連続で、
オリジナル作品が続いていますが、
しっかりとした原作がある場合、
それをもとに脚本を書くわけで、
ある程度の水準を保てるのですが、
オリジナル作品の場合、
脚本家にその全てが委ねられてしまいます。
花燃ゆではオリジナル作品ということで、
38年ぶりの長州大河ドラマを、
残念な結果にしてしまいましたが、
真田丸では三谷幸喜の良さが前面に出て、
オリジナル作品の自由度というメリットが、
生きているように感じられます。
そんな諸刃の剣であるオリジナル作品。
初のオリジナル作品はというと、
第18作の「獅子の時代」になります。
主演は仁義なき戦いやトラック野郎のヒットで、
映画スターの地位を確立していた菅原文太。
会津の下級武士平沼銑次という架空の人物です。
もう一人の主人公として、
大岡越前で有名であった加藤剛が、
薩摩の郷士苅谷嘉顕役を演じます。
彼も架空の人物。
脚本は倉本聰、向田邦子と共に、
ライター御三家と呼ばれた山田太一。
音楽は宇崎竜童が担当し、
ロック調のテーマ音楽を使用しています。
OP映像はライオンの映像が流れ続けるだけ。
「獅子の時代」ですから獅子というわけね。
物語はパリから始まります。
リヨン駅にサムライ集団が歩くという、
斬新な映像からスタート。
現地ロケは雰囲気ばっちり。
セットではこの絵は撮れません。
国内に移ってからもロケシーンが多く、
その壮大さが伝わります。
ロケが多かったのは菅原文太の意向らしく、
さすが映画出身と言ったところでしょう。
菅原文太演じる平沼銑次は、
架空の人物だけあり、
数々の事件で脇役にまわります。
その関わり方の距離感が絶妙で、
主人公が前に出るドラマに食傷気味でしたが、
基本的に脇役に徹しているので小気味が良い。
とはいえ流石の菅原文太。
居るだけで存在感があります。
もう一人の主人公加藤剛演じる苅谷嘉顕は、
菅原の武骨さと対比してとてもスマート。
平沼銑次との接点も付かず離れずの距離感。
苅谷というキャラを入れたことにより、
ストーリーに深みが出ています。
明治期に入ると物語的に失速するものですが、
この獅子の時代は秩父事件を最後に持ってきて、
平沼銑次の目から秩父事件を語り、
別のベクトルで明治憲法制定の過程を、
苅谷嘉顕の目から語らせています。
構想が最後までしっかりとしてたのでしょうね。
36年前の作品。
現在の作品が見るのも苦痛というものも多い中、
この古くさいはずの映像を、
苦痛なく面白く見えるという事は、
映像やその他の技術が発達しても、
肝心な脚本や役者の演技なりが良くないと、
良い作品にはならないという事でしょうね。
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