大河ドラマ「新撰組!」

大河ドラマ真田丸が好調のようです。
残念ながら幕末モノに比べると、
やはり戦国モノの方がウケが良い。
しかも主人公は人気ある真田信繁(幸村)。
この題材で視聴率取れないなら、
なにをやっても無理でしょう。
とはいえ実際に真田丸が面白いのは、
優れた脚本によるもの。
実際に面白いので脚本の三谷幸喜が、
優秀であると認めさるを得ません。

彼が喜劇出身ということで、
シリアスなものを作る事に関して、
偏向的に見てしまいがちですが、
喜劇はシリアスなものを作るより難しい。
何故なら笑いは、ストーリー、背景、
タイミング等全て揃って初めて面白い。
事件を羅列するだけの脚本家が多い中、
視聴者がどう感じるかをイメージし、
脚本を作っていると思います。
芸人の作るコントが面白いのも、
そういう関係かもしれません。

ちょっとヒマがあったので、
三谷幸喜の前作新撰組!を何話が観てみた。

やっぱドラマとして面白いと思う・・・。
新撰組の数あるエピソードを、
しっかりとアレンジを加えて、
1話1話丁寧に作りこんでいます。

38回 「ある隊士の切腹」では、
勘定方河合耆三郎の切腹を描きますが、
切腹の理由を後の武田観柳斎の粛清や、
伊東甲子太郎派との対立に絡め、
ドラマチックに演出しています。
河合が武田に金を貸していたとか、
武田の本を土方が欲しがっていたとか、
土方だけかと思いきや、
伊東派の加納鷲雄も狙っていたとか、
本を返そうと思った武田が、
本屋に加納が欲しがっていたと聞くと、
返すのを辞めたとか、
複雑に絡めて脚本されています。
登場人物の思惑もよく表現されていて、
これでもかと言う位に練っています。

ギリギリまで飛脚の到着を訪ねる河合。
5つ数えるまで待ってほしいと願うなど、
なんとも切ない切腹シーンとなっています。
切腹が終わった後、
鈴を鳴らしながら飛脚が現れて、
画面はフェイドアウト・・・。
最後まで河合の死の余韻を持たせるように、
考えられていました。

比較としてですが、
八重の桜第33回「尚之助との再開」では、
尚之助の永遠の別れが描かれるのですが、
二人の思考が伝わらない。
綾瀬はるか長谷川博己の迫真の演技で、
別れが多少なりと伝わってきているのに、
そのすぐ後に後の夫新島襄のシーンを挿入。
今生の別れのシーンの余韻無し・・。

視聴者もしらけますし、
視聴者は新島襄との再婚を知ってるわけで、
別に八重が悪いわけでなはいのに、
なんだか節操が無いように感じられます。
視聴者が観てどう感じるかなんて、
全く考えていないのは明らか。

とにかく「新撰組!」は1話1話の中に、
しっかりとドラマを作っていますし、
前後の複線もきっちり入れて、
全体的な作品としての流れも損なわない。
史実と違うと叩かれた「新撰組!」ですが、
なかなか秀作と言えるでしょう。

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