[ジャズ大名]は筒井康隆の原作を、
岡本喜八が映像化した作品。
タイトルからして色物ですが、
内容としても遭難した3人の黒人が、
東海道沿いにある小藩に流れ着き、
好奇心旺盛で音楽好きな藩主と共に、
セッションを繰り広げるというもの。
あらすじを聞いてもピンと来ませんが、
古い作品ながら非常に評価が高く、
更に幕末が舞台という事で、
気になっていた作品でした。
今回少し時間が出来たので、
久しぶりに映画でも見ようかと、
幕末関連のDVDを数作品視聴。
最初に観たのがこの[ジャズ大名]です。
原作とは設定が少し違うそうですが、
まだ原作は読んでません。
舞台は庵原藩という架空の藩。
その藩庁は東海道沿いにあるようで、
難所を避けるには城内を通るのが、
一番効率が良いらしい。
そういう訳で新政府側、旧幕府側と、
双方の勢力が城内を通り過ぎます。
城(陣屋?)も間取りは直線状で、
通り抜けて下さいと言わんばかり。
藩主の海郷亮勝も態度を明確にせず、
どちらの勢力も体よく通行させる。
そんな折に領内に黒人が流れ着き、
藩はこれを捕えて城の地下に幽閉。
亮勝は音楽好きで好奇心旺盛だった為、
地下で演奏される音楽に興味を抱き、
黒人らと面会しました。
そこで死んだ黒人のクラリネットを貰い、
これを吹いて黒人らとジャム・セッション。
以降は最後まで演奏しっぱなし。
そのまま映画は終わります。
感想ですが色々と考えさせられます。
もしこの作品を若い頃に観ていれば、
違う感覚を感じたかもしれません。
どちらにも属さずに演奏を続け、
演奏している間に時代は変わりますが、
大人になった自分には無責任と感じ、
これでは通用しないと知ってしまっている。
当時のヒッピー的な価値観とか、
訴えたい事は判るのですが、
現在においては既に破綻した思想でしょう。
但しそんな無粋な事を言うのはさておき、
映画としては非常に良く出来ています。
演出、演技、カメラワーク等、
映像の専門的な事は判りませんが、
後半は延々と演奏を観させられながら、
全く飽きを感じさせなかった。
まさに「勢い」ではあるのですが、
その「勢い」を表現させる為には、
高い技術を要する必要があるのかも?
・・・知らんけど(笑)。
観るのを迷っていた作品でしたが、
観て良かったなと思います。
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