福岡県築上郡築上町にある旧藏内邸。
炭鉱で財を成した蔵内次郎作の旧邸宅で、
炭鉱王の邸宅では九州随一の規模という。
明治中期の建物で当ブログの範囲外ですが、
それ程の邸宅ならば一度は訪問せねばと、
家族を連れて行ってきました。
「旧藏内邸」。
筑豊の炭鉱は日本の近代産業を支え、
多くの炭鉱王を生んでいますが、
彼らの邸宅は飯塚市の旧伊藤傳右衛門邸、
福岡市の旧高宮貝島家住宅、
宮若市の旧貝島六太郎邸、
北九州市の旧安川邸、旧松本家住宅、
直方市の旧堀三太郎邸等、
福岡県内に多く現存しています。
この旧藏内邸は明治39年に造営され、
蔵内次郎作の本邸となっていましたが、
大正5年の蔵内鉱業株式会社の設立時に、
大増築されて現在の姿となっています。
「大玄関」。
二重入母屋破風の屋根を構える大玄関。
大正5年に増築されたもので、
藏内家の繁栄の証として聳えています。
「応接間」。
訪問時はひなづくし2024のイベントで、
全国各地の雛人形が展示されていました。
勿論リサーチ済みです。
みよちゃんとゆきちゃんを連れて来たのは、
このイベントの情報を知ったから。
毎年やっている恒例イベントのようで、
展示品の3000体のひな人形の殆どは、
全国の雛人形収集家西岡一枝氏の所蔵。
西岡コレクションというらしいです。
「中庭」。
幾何学的な飛石が配置されており、
独特でモダンな雰囲気。
「便所」。
何故か施設の人に必見と勧められた便所。
江戸期に比べ非常にハイカラです。
「大広間」。
子供達は広いお屋敷を探検。
こんなお雛様があったよ!とか、
逐一報告してくれます。
「旧藏内氏庭園」。
行橋市の庭師浦野弥平の作庭で、
池泉や樹木の配置もさることながら、
芝生が美しい庭園。
水田地帯で周囲に高い建物が無い為、
開放感があって素晴らしい。
庭園は応接間、茶室、大広間から望め、
それぞれ別の表情を魅せるようです。
国指定名勝。
意外と楽しめた旧藏内邸。
子供達もまた来たいと言ってました。
蔵内家は豊前宇都宮家の家臣で、
宇都宮家の滅亡後に帰農し、
庄屋を務めていた名家でしたが、
明治初期の当主蔵内次郎作は散財や、
米相場などで家産を傾けてしまい、
明治16年の縁者を頼って田川郡に移住。
養子の蔵内保房と小さな炭鉱経営を始め、
これが時流に乗って大当たりし、
経営を拡大して巨財を得るに至りました。
後に衆議院議員に当選しており、
連続5期を務めていますが、
大正12年に在任のまま病死しています。
この旧藏内邸は所有者が変わった後、
空き家となっていたものを築上町が購入。
整備された後の平成25年に、
一般公開されるようになったとのこと。
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・福岡県飯塚市 旧伊藤伝右衛門邸
筑豊の炭鉱主伊藤伝右衛門の屋敷。