穢多という身分は本当はどうだったのか?
僕は実際によくわかっていません。
穢多は職業的にいえば、
牛馬の皮を剥いでなめす職で、
牛馬の皮は防具や馬具の主材料でした。
①穢多が毛嫌いされたのは、
死骸という「穢れ」たものを扱うから。
自然現象が神仏が起こすと考えていた昔の人は、
そういう「穢れ」が神仏を怒らせると忌み嫌う。
②しかしながら牛馬の皮は武具となり、
権力者にとっては必要不可欠なモノ。
穢多が居なくなっては困るので、
代々家業とすることを定め隔離した。
この①②の事柄により、
差別的な身分が成り立ったのではないかと、
僕は勝手に推測しています。
さて「長州藩部落民伝説」という小説ですが、
長州藩内のいち部落民の日常と、
幕末の動乱で幕府と戦う部落民を描いたもの。
小説としてはなんだかまとまりがなく、
残念ながら秀作とは言い難い。
穢多に関する説明もイマイチ説得力が無い。
毛利が無理やり押し込めたという説明でしたが、
理由というものを書いてないので、
読者側は「なんで??」と頭をよぎる。
なんら日本人と変わらないはずの部落民が、
何故そのような立場になったのか?
これが一番重要なところじゃないかな?
書いてないってことは、
作者も認識が無いという事かと感じてしまう。
物語の大部分を男女の関係が占めているわりに、
最終的に何も回収せずにほったらかし。
あれ?って感じで物語は終わってしまいます。
高須久子の話も途中で出てくるのですが、
久子が密通したとされる穢多が捕えられる際、
野山獄に投じられたと書かれています。
※野山獄は士分が入る獄。庶民以下は岩倉獄。
差別を題材にしてるのに、
野山獄と岩倉獄の違いを知らないなんて・・。
また主人公の伊三は現代人感覚の持ち主で、
読んでて違和感がつきまといました。
桜山招魂場で部落民が排除されたとしてますが、
そもそも桜山は奇兵隊士を招魂するための施設。
※その他、松陰と門下生、および長府報国隊士。
もちろん他の諸隊士も招魂されてません。
被差別民の隊を勉強しようと思い、
入門編としてこれを選んだんですが、
残念な事に大した情報は得られませんでした。
反対に部落について??が増えてしまいました。
あとがきで司馬遼太郎の無知を批判してますが、
※確かに司馬は偏っています。
司馬の表現力には到底及ばないでしょう。
小説家じゃないらしいので、
司馬と比べるのは可哀想ですが・・。
あまり語られる事のない幕末の被差別民。
この本は小説としては残念でしたが、
そういう差別があったという事は、
我々も認識するべきでしょう。
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