秋月藩は福岡藩の支藩で、
福岡藩初代黒田長政の三男黒田長興が、
5万石を分知されて立藩した藩。

秋月藩は秋月の乱で知られていますが、
最後の仇討ちの臼井六郎もこの藩の出身。
※記事はこちら。

今回秋月を始めて訪問したのですが、
このあたりでは非常に珍しい大雪。
めったに見れない雪の秋月城下町を、
幸運にも観る事ができました。


「眼鏡橋」。
秋月城下町入口に位置する花崗岩製の橋。
洪水の度に流される木造の橋の代わりに、
8代黒田長舒が長崎の眼鏡橋を参考にし、
城下の石工に造らせたもの。
建造中に一度崩壊はしたものの、
完成後は洪水にも流されることなく、
現役の橋として野鳥川に架かっています。


秋月は国の重要伝統的建造物群保存地区。
[筑前の小京都]と呼ばれるように、
風情ある街並みが残っています。


「種痘の父 緒方春朔顕彰の碑」。
秋月陣屋へと続く一本道[杉の馬場]の手前。
緒方春朔はジェンナーの牛痘よりも、
6年も早く人痘を行った人物。
天然痘予防の先駆者として知られています。
緒方は久留米藩の出身でしたが、
秋月で藩医となっていました。
※緒方姓の蘭医ですが緒方洪庵とは無関係。


「杉の馬場」。
杉の馬場は秋月観光の目玉で、
約500mの桜並木が続いています。
春には桜色のトンネルになるようですが、
訪問時は雪化粧となっていました。
この雰囲気もなかなか良いものですが、
是非とも桜の時期に訪れたいものですね。
名称のとおり当時は桜ではなく、
杉の並木道だったようで、
桜は日露戦勝記念に植えられたもの。


「秋月博物館(藩校稽古館跡)」。
秋月藩の藩校稽古館跡には、
朝倉市秋月博物館が建てられています。
オープンしたばかりのようですが、
時間の関係上入りませんでした。


「秋月郷土館跡」。
それまでの資料館であった秋月郷土館。
老朽化で秋月博物館に移行したようです。
上級藩士戸波家の屋敷もあるようですが、
閉鎖しているために観ることはできません。

そのまま杉の馬場をまっすぐ進むと、
陣屋の石垣が見えてきます。

石垣の上は朝倉市立秋月中学校の校庭。


「瓦坂」。
秋月陣屋の正門に続く坂になった橋で、
洪水の際に土砂の流れを防ぐため、
瓦を敷き詰めてあるようですが、
残念ながら雪で見えません。
当時はここを登って正門に至っていました。


「長屋門」。
秋月陣屋の裏手門で唯一の現存建物。


「梅園(梅屋敷)跡」。
秋月中学校敷地より一段高くなっており、
梅園と呼ばれた御殿が建てられていました。
跡地は[梅園公園]となっています。


顕彰碑のような石碑や歌碑があるのですが、
何なのかわかりません。


奥にはもう一段高くなった場所が・・。
奥御殿のあった場所でしょうか？


奥には忠霊塔と記念碑が建っていました。

その中に幕末の関連の顕彰碑もあります。

「中島仲強碑」。
中島仲強は秋月藩の藩儒。
稽古館の助教、横目付、中監察を歴任し、
乱れていた藩の風俗を正し、
姦偽を明らかにすることに努めました。
明治元年5月23日。
藩内尊攘派である干城隊に襲撃され惨殺。
臼井六郎の両親を襲った連中による犯行で、
その同日の事。


「戸原海賀両士之碑」。
戸原卯橘と海賀宮門は秋月藩の尊攘志士。
戸原は天誅組の変や生野の変に参加し、
生野の変に敗れて妙見山で自刃しています。
海賀は寺田屋事件に連座し、
田中河内介らと共に薩摩へ護送される途中、
薩摩藩士によって殺害されました。
横の石碑はたぶん碑文だと思います。

一旦長屋門まで戻り南側にある黒門へ。

「黒門」。
秋月陣屋の正門であったものを、
垂裕神社の参道に移築したもの。
本来は[瓦坂]の奥右側に建っていました。
秋月氏の本城古処山城の搦手門だったとも。


「緒方春朔顕彰碑」。
杉の馬場入口にもありましたが、
こちらは大正期に建てられたもの。


「秋月城之碑」。
何故か垂裕神社側にある秋月城之碑。
秋月藩は支藩ながら城主格でしたので、
秋月陣屋も秋月城と呼ばれています。


「垂裕神社」。
安政6年に10代藩主黒田長元が、
初代黒田長興の二百回忌を迎えるにあたり、
その功績を記念して秋月八幡宮の宮司に命じ、
京都の吉田家に垂裕明神の神号を授からせ、
秋月八幡宮相殿に祀ったのが始まり。
元治元年に八幡宮から秋月城内に移し、
明治5年から3年掛けて社殿を建設。
その後の昭和22年に歴代藩主及び夫人、
島原の乱の秋月出身戦死者を合祀しました。

幕末の秋月藩は尊皇攘夷運動が盛んで、
上記の戸原卯橘や海賀宮門等、
多くの志士が活躍しています。
中島仲強や臼井亘理ら藩の重臣が、
尊攘派である干城隊に惨殺される事件や、
旧士族が起こした秋月の乱など、
幕末には殺伐とした事件も多く、
臼井六郎の仇討事件も起きています。

【秋月藩】
藩庁：秋月陣屋
藩主家：長興流黒田家
分類：6万石、外様大名(福岡藩支藩)

■関連記事■
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　秋月藩黒田家の歴代墓所。
・福岡県京都郡　甲塚墓地/秋月藩士の墓
　秋月の乱で戦死した旧藩士らの合葬墓。
・福岡県福岡市　福岡城跡
　宗家の福岡藩黒田家の居城。