鳴子温泉郷は川渡、東鳴子、鳴子、中山平、鬼首の、
5つの温泉地の総称ですが、
このうちの鬼首を除く4つはJR陸羽東線が通り、
温泉地それぞれに駅があります。
川渡駅、鳴子温泉駅、中山平駅と、
3つは温泉名の駅名なのですが、
東鳴子温泉だけは鳴子御殿湯駅となっており、
東鳴子駅や東鳴子温泉駅ではありません。
確かに昔は東鳴子駅だったようですが、
平成9年に鳴子御殿湯駅に改称されたようです。
「鳴子御殿湯駅」。
駅名の由来はズバリ御殿湯があったからで、
岩出山伊達家当主や仙台藩主が遊湯し、
専用の御殿湯が設置されたからでした。
ちなみに仙台藩の御殿湯は青根温泉にもあり、
青根御殿が建設されています。
※青根御殿は明治期に焼失。
昭和初期に再建されています。
しかしながら東鳴子温泉は明治43年に山崩れに遭い、
東鳴子温泉一帯は悉く埋没してしまったようで、
その後に温泉街は復興していますが、
御殿湯はその時に倒壊したまま復興されず、
現在は名のみ残っているだけです。
「東鳴子温泉神社」。
由緒はわかりませんが、たぶん温泉地の守り神かと。
参道を横切るようにJR陸羽東線が通っています。
雪で参道が埋もれているので社殿までは行かず。
御殿湯はこのあたりに建設されたようで、
岩出山伊達家が建設した場所に、
仙台藩主用の二階造りの新館を建設し、
その建物を御殿と称したという。
この御殿湯を利用した記録があるのは、
岩出山伊達家9代伊達義監と、
仙台藩13代藩主伊達慶邦です。
云わずと知れた奥羽越列藩同盟の盟主ですが、
慶邦は当時継嗣がいないのを憂い、
文久3年8月に継室の八代姫と共に訪れ、
御殿湯で湯治しています。
残念ながら八代姫からは継嗣は生まれませんでしたが、
その後に側室の於勝の方に男子が生まれ、
効能があったとして記念の松が植えられたという。
※手招きの松と称されましたが、
土砂崩れの際に倒れています。
八代姫からではないのは残念ですが、
不妊の原因の半分は男性にあるらしいですし、
実際に効能があったのかもしれませんね。
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岩出山伊達家の歴代墓所。御殿湯に入った義監の墓も。