吉田松陰は単なるテロリストに過ぎない!・・で?

吉田松陰は単なるテロリストに過ぎない!
松陰について批判するページをよく見かけます。

そうですね。
テロリストと呼べるかもしれません。
【テロリスト】はテロリズムをする人ですが、
【テロリズム】は政治的目的を達成するために、
暗殺・暴行・粛清・破壊活動など、
直接的な暴力やその脅威に訴える主義の事です。

松陰はおろか高杉晋作ら他の志士もそうですし、
佐幕派である新撰組もそうでしょうね。
ちなみに反体制をテロリズムと思いがちですが、
体制側の暴力もテロリズムと呼びます。

テロリズムはフランス革命の恐怖政治に由来し、
恐怖という意味の「テロル」から派生します。
体制側の暴力が基だったんですね。

「吉田松陰は単なるテロリストに過ぎない!」
と言われても「そうだよ。だから何?」
としか言いようがない。

歴史を語るには、
その当時の背景を正しく理解する
必要があります。そうしないと、
「吉田松陰は単なるテロリストに過ぎない!」
というおバカなタイトルを、
堂々と掲げる羽目になるのです。

簡単な例を挙げますと、
現在は自動車を運転する時に、
シートベルトの着用は義務付けられています。
ですので着用せずに自動車を運転した人には、
あいつは交通法規違反者だ!
と言っても間違いありません。
でも昔は着用しなくてもよかったのです。
昭和60年9月1日施行の改定道路交通法で、
シートベルトの着用が義務付けられましたが、
それまでは着用しなくても良かったのです
※努力義務はありました。

昭和60年9月1日以前の写真や映像で、
シートベルトをせずに運転してる人を見て、
「あいつは交通法規違反者だ!」と言っても、
あの頃は良かったんだよ!
とバカにされるだけですね。

それと同じで現在と幕末は違います。
もちろん人殺しは罪だとか泥棒は駄目だとか、
現代に通じるものも沢山ありますけどね。

現代では政権を打倒するには、
選挙で勝って過半数を取ればよいのですが、
当時は選挙が無い。
政権を打倒するには武力しかないのです。
もちろん政治力も必要ですが、
そこに武力の背景が無いと意味がありません。

大政奉還王政復古はもちろん政治闘争で、
武力は関わっていないのと思われがちですが、
そこに至るまでの幕長戦争の敗北や、
薩摩藩の武力的威圧があってこそ、
将軍に逆らう事ができる者が現れたわけで、
幕長戦争が幕府軍の勝利に終わったとすれば、
徳川幕府に逆らおうとしていたものは、
なりを潜めたことでしょう。

まあ、そういうわけで吉田松陰が、
政治的目的を達成するために、
暗殺や破壊活動などを考えたとしても、
だから?」としか言えません。

歴史を語るうえで、
上記のシートベルトを理解してない人が、
残念ながら多くいるのは情けないことですね。

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 ある意味で純粋な人達なのかも。

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