つづき。
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文久元年9月晦日。
風邪はまだ治らない。寝て養生。
昼飯後に桂小五郎、乃木初太郎が来る。
夜に荻野早太が来る。
話の中で三條公、中山公、大原公が、
酒井若州の詐術に嵌ったと聞く。
※京都所司代酒井忠義。
明倫館の塾生は上様、寄組、八組、遠近附、
無給士に至り、また別に足軽、陪臣、土民、
町人に至り入る事が出来る。
益田家臣小國弘蔵、佐世家臣土屋矢之助、
口羽家臣坂上忠助等は要略に優れる。
夜に坤興國識を読む。
文久元年10月朔日。風邪はまだ治らない。
朝から来客が多い。
寝てると大和弥八郎、桂小五郎が来る。
静かになると読書をした。
坤興國誌一巻卒業。
今日から有吉を有備館に入らせる。
※有吉熊次郎。
部屋も借りて文吉なる者を置く。
この夜、ある事を思う。
左に記す
三人が会って話せば読書と同じ。
某は少しわかってきた。
有力な儒者を呼んで毎夜会読しよう。
これが上手くいけば、
不得意な書も読破したようなものだ。
荻野輩でも読んで会読しようと思う。
※気持ちは判りますが、
読書も必要と思いますよ。
夜半に相固先生と御役の事を少し話す。
夜に一人で飲む。
10月2日。此日も風邪気味。
どうにか快気しようと思う。
昼飯後から少し頭痛がしたので寝込む。
この日金一歩二朱を文吉に渡す。
夜に坤興国識を読む。二の巻卒業。
金二朱を飯田に渡し、
扇子の切掛を一つ返す。
10月3日。朝。逸作が来る。
内藤が酒を造って来た。
大西祖母様から書状と氷砂糖が来る。
内藤はまた旅に今日から出立する。
家君への書を託す。
昼飯後の袋屋が来て用事を頼む。
頼物左之通、
柄袋代 壱歩二朱
はさみ金具一匁五分
懐中仕立代拾弐匁、
するか屋清兵衛
夜中読書、興坤國識三の巻卒業、
10月4日。朝に井上平右衛門と、
桂小五郎が来て話す。
昼飯後に佐々木氏が来て話す。
※佐々木男也。
予の風邪はまだ治らないが、
少しずつよくなっているようだ。
佐々木と夜中まで話す。
少し禅の事について話した。
ある僧の歌に
やうやうに迷い
頭衾に脱きたれとさとり
頭巾を叉かふりけり
蜷川新右衛門妻の歌
あさ糸の長し短かし
六つかしさ有無の貮つに
いつかはなれん
或る人の歌
ぬて鐵の茶かまに
通ふ茶ひしゃくは心なけれは
くるしけもなし
無門閥四十八 則
白インのうでの聲、
※以下の4月は10月の間違いと思われます。
何故十月を四月と間違たのか?
普通は間違えないと思うけど・・。
4月5日。番出勤。
昼後に麻布藩邸に御い出になったので、
お供を務めて御刀取等の事を習う。
その後は通常業務を務めた。
夜五ッ時にお帰りになる。風雨。
4月6日。非番。外出して京橋まで行く。
晩になって帰り、桂小五郎を訪ねる。
すぐに歌を吟じる。
左之通、
如何我居近塵囂、去得故人話一宵、
醉來有闕心事、満膓酒爲不必消、
桂と一緒に奥平に会いに行く。
夜四ッ時頃に部屋に帰った。
明日は瑞聖寺での御供事がある。
つづく。
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