福岡県田川市 猪膝宿跡

猪膝宿は天正8年(1580)頃、
中村国武という人物が開いたとされる宿場。
当時の香春大隈間には宿場がなく、
旅人が困っているのを見て、
猪膝に宿駅を開いたという。


田川市猪国周辺。緑の線が街道筋で、
青でぼかした辺りが猪膝宿。


猪膝宿の図」。
南構口外にある中村公園の案内板。
中村一族の会が設置したようです。


猪膝宿 中村公園 造詣の趣旨(右)」碑、
中村一族祖霊碑(左)」。
公園内にある碑と祖霊碑。
猪膝宿を開いたとされる中村国武や
その祖菊池氏について刻まれています。
こちらも中村一族の会が建立。


南構口」と「大刀洗の井戸」。
猪膝宿の南の入口には、
構口の石垣の一部が現存しています。
脇の井戸は大刀洗の井戸と呼ばれ、
日本武尊命猪折征伐した際、
この井戸でを洗ったという。
旱魃でも涸れる事ことはないとされ、
霊水として重宝されていました。


私塾 義井塾跡」。
民家の庭先に設置されている跡碑。
医師で儒者の伊藤浚明の私塾跡で、
秋月藩の儒者吉田平陽から儒学を、
帆足万里村井蕉雪から医学を学び、
天保9年(1838)に猪膝で医院を開業。
私塾を開いて子弟を育成しています。


御成門」。
藩主のみが使用したという御成門
つまり本陣であったと思われますが、
案内板の説明が微妙で断定はできません。
屋敷の方も現存っぽいのですが、
御成門だけ協調されているので、
江戸期のものではないのでしょうか?


猪膝宿を歩くと建物は更新されていても、
門は残されているものが多い。
勿論古い家屋も結構あります。


中村商店」。
キクスイ醤油を生産販売する醤油店。
店舗の横には蛭子社が鎮座しています。
深作欣二の映画「青春の門」で、
ロケ地になった事もあるとのこと。


東中津道との追分」。
大きな燈籠の脇に新しい道標があります。


北構口」。
宿場の北側の構口は現存していません。
道は国道322号線に接続し、
次の香春宿に向かいます。

猪膝宿は小倉藩領であったようで、
福岡藩との境界にあたる重要な宿場でした。
宿場には旅籠が数軒あった他、
造酒屋造醤油屋両替屋小間物屋
米屋魚市場麹屋菓子屋桶屋
畳屋鍛冶屋鋳掛屋屋根師染物屋
髪結等、多くの店が軒を連ね、
領内では香春に次ぐ賑わいだったようです。

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