電車の旅にはやはり文庫本です。
せっかちな僕はボーっとするのが苦手で、
何時間も電車に揺られる時、
必ず文庫本を買って読むようにしています。
今回買ったのは「幕末スパイ戦争」。
このダサいタイトルが気に入って購入。
読んでみると短編集でした。
「黒船忍者」多田容子
黒船に潜入した御庭番青山保助のお話。
実際に黒船に乗った澤村甚三郎の話が、
話のモチーフになっています。
忍者モノのような展開が用意されてますが、
澤村が持ち帰った書類を引用するなど、
史実とフィクションの絡め方は面白い。
「会津の隠密」天童晋助
司馬遼太郎の猿ヶ辻の血闘のオマージュ?
作家名も司馬遼の小説の主人公の名ですね。
猿ヶ辻の血闘よりも捻りを効かせています。
「暗殺者の円舞曲」嵯峨野晶
山田市之允(顕義)の話。
僕の思っている山田像とギャップがあって、
ちょい違和感を覚えるのですが、
何の意味も無かった些細な顛末は、
意外と嫌いではなかったです。
「乗り遅れた譜代藩の志士」喜安幸夫
薩長土肥など有名どころ以外の尊攘派の話。
当たり前なのですが、
題材にする程面白いエピソードがないもの。
尊攘派は基本的には過激派が多いので、
藩の弾圧の対象となりやすい。
何も成せぬまま死んでいった志士は、
はたしてどれだけいたのでしょう。
「桜島燃ゆ」井川香四郎
薩摩の山伏忍者らの活躍の話。
薩英戦争で英艦隊に忍術で挑みます。
「二百六十八年目の失意-苦無花お初外伝」
誉田龍一
幕末の話なのですが、
お話は関ヶ原の戦いまで広がります。
三百年間恨んだ相手が、
腰抜けになっていたという身も蓋もない話。
「逃げる旗本」芦川淳一
彰義隊の生き残りが潜伏して再起を図るが、
成す術ない状況がお色気まじりに展開します。
「三十余戦 無配の男-仙台藩鴉組 細谷十太夫」
聖龍人
衝撃隊を率いてた細谷十太夫の話。
偵察方として行商人などに変装しながら、
諸藩の情報収集に当たる細谷十太夫は、
これぞテーマどおり「幕末のスパイ」の内容。
「黒脛巾組始末」平谷美樹
伊達の忍者2人が激突します。
源義経や草薙の剣など出てきますが、
イマイチあってもなくてもいい設定。
男の意地とかそういう表現はとても良かった。
幕末関連の本を読み漁ってると、
時々こういう変わったジャンルにあたります。
忍者とか出てきて突拍子もないんですけど、
意外と史実がちりばめられてて関心したり、
調べるテーマのヒントになったりもしますし、
たまにはこういうのもアリだなと思いますね。
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