鵜戸神宮は日向灘に面した断崖にある神社。
全国でも数少ない「下り宮」であり、
岩窟に本殿が鎮座する珍しい神社で、
更に国指定名勝にもなっていて、
非常に[映える]神社であります。
もちろんそれだけではなく、
皇祖神を祀る重要な神社であり、
官幣大社の旧社格と神宮号を誇る大社。
「神門」。
朱塗りの色鮮やかな神門。
訪問時は幸運な事に晴天でした。
青空に朱色が際立ちます。
「楼門」。
神門の次に控える朱色の楼門。
神仏習合の影響がありそうですが、
昭和期に再建されたものです。
参道は海に沿って伸びており、
心地よい海風が吹いています。
参道脇に並ぶウサギ達。
主祭神日子波限建鵜草葺不合命や、
鵜戸神社の「鵜」の字が「卯」に転じて、
ウサギが神使となっているようです。
鵜戸神宮は日本三大下り宮のひとつで、
参道が下っているという珍しい神社。
下りた先が御本殿広場です。
※他の2つは群馬県の貫前神社と、
熊本県の草部吉見神社。
「霊石亀石」。
御本殿前広場の眼下には日向灘が広がり、
御船岩、二柱岩、扇岩、夫婦岩等、
奇岩怪礁がそそり立っています。
これは亀石や桝形岩と呼ばれる岩で、
豊玉姫命が鸕鷀草葺不合尊を生む際に、
海宮から大亀に乗って来たとされており、
その大亀がこの岩になったのこと。
頭頂部には桝形のくぼみがあり、
参拝者が賽銭を投げて祈願していたようで、
現在は粘土で作った「運玉」を投げ、
くぼみに入れば願いが叶うとされています。
男性は左手で女性は右手で投げるとのこと。
「御本殿」。
御本殿は本殿、幣殿、拝殿が1体の権現造で、
正徳元年(1711)に飫肥藩5代伊東祐実が改築。
これを明治23年に大改修したのが、
現在ある御本殿のようです。
主祭神の日子波瀲武鸕鷀草葺不合尊は、
神武天皇の父とされる神様。
相殿に大日孁貴(天照大神)と、
その息子天忍穂耳尊、
天孫降臨の彦火瓊々杵尊、
鸕鷀草葺不合尊の父彦火々出見尊(山幸彦)、
そして神日本磐余彦尊(神武天皇)を祀ります。
「皇子神社」。
本殿左側に鎮座する摂社で、
神武天皇の兄彦五瀬命を祀っています。
元々は吹毛井の船形山に鎮座しており、
明治期にここに遷座したとのこと。
「お乳岩」。
豊玉姫命が我が子の育児の為に、
両乳房をくっつけたとされるお乳岩。
安産や育児に御利益があるとのこと。
この岩窟は豊玉姫命が産屋を建てた場所。
出産の姿を夫の火々出見尊に見られ、
豊玉姫命はこれを恥じて海へ帰りました。
この事から崇神天皇の代に創祀され、
推古天皇の代に社殿を創建。
天台宗の僧光喜坊快久が別当となり、
仁王護国寺が建立されています。
後に天台宗から真言宗へ変わり、
明治になるまでは鵜戸大権現と称され、
修験道の一大霊場として隆盛。
その後の明治政府の神仏分離政策により、
別当の仁王護国寺が廃され、
明治7年に鵜戸神宮となりました。
■関連記事■
・鹿児島県薩摩川内市 新田神社
瓊瓊杵尊を祀る薩摩国一宮。
・宮城県児湯郡 都農神社
日向国一宮。