今も昔も強いなと思う女性は存在します。
不幸な身の上をものともせず、
力強くのし上がっていく。
若い頃に大阪北新地の一流クラブでのバイトで、
そのような女性を何人か見ています。
富貴楼お倉もそのような女性で、
6歳で家族が離散してしまい、
新宿、品川、吉原などで芸者として働き、
明治に入ってからは自分の置屋を開いて、
天下の糸平こと田中平八の資金提供を得て、
料亭「富貴楼」を開きました。
「富貴楼跡」。
神奈川中小企業センタービルが建っている場所が、
富貴楼のあった場所。
富貴楼には、大久保利通、伊藤博文、井上馨、
大隈重信、大山巌、西郷従道、
山縣有朋、陸奥宗光等々、明治の元勲が出入りしました。
疎遠となっていた伊藤と大隈を引き合わせたり、
対立する三菱と共同運輸の仲介をした逸話もありますが、
どれも裏事情なので真相の程は定かではありません。
しかしながら一流の店には、名士が集まるものですので、
あながち信憑性が無いとも言い難い。
実際に僕もバイト中、
どこそこの会長と社長が会って話をしてるとか、
そういうのはよく見ていましたし、
その間を取り持っていたのは、
そのクラブのママだったりしてましたので、
たぶんそうだったんじゃないかなと思っています。
富貴楼は明治26~27年頃に閉店しますが、
系譜として「瓢家」「田中屋」「金田中」など、
その後も名士が通う名店へと受け継がれているようです。
※このブログ初めての神奈川県の記事「川村屋」は、
富貴楼お倉が養女渡井つる名義で出した食堂が始まり。
(記事はこちら)。
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