「十二歳の戊辰戦争」林洋海

久々に図書館へ行きました。
今回借りたのは「十二歳の戊辰戦争」。
戊辰戦争11~17歳で従軍した、
数々の少年達のお話です。

戊辰戦争に従軍した少年達で有名なのは、
やはり白虎士中二番隊でしょう。
飯森山で自刃したその壮絶な逸話は、
何度もドラマ化されたりしてます。

しかし戊辰戦争に従軍した少年達は、
彼らだけではないのです。
二本松藩では戦闘が刀や槍の時代から、
銃に移ったこと思い知ったのは、
西軍(新政府軍)が城下に迫ってからでした。
洋式銃術家木村銃太郎門下の少年達は、
大群の西軍相手に善戦しますが、
半数が戦死するという悲劇を生みます。

新選組にも16歳以下の少年隊士がおり、
近藤や土方の小姓として仕えていましたが、
鳥羽伏見後も新選組に従い各地を転戦。
箱館戦争にも参加しました。
戦後、当時14歳の市村鉄之助や、
16歳だった沢忠助は、
土方の遺品を日野の佐野家に届けています。

長州藩にも少年兵はいました。
岡卯三郎という12歳の少年は、
干城隊鼓笛手として北越戦争に従軍。
長岡での激戦にも参戦しており、
出征と帰還の度に母を泣かせています。

各戦線にも同様に少年達が参戦しています。
少年達の多くは、
政治の事はわからないが、
 敵が攻めてくるというので、
 従軍を願い許された
」と語り、
意気揚々と従軍します。
出征時もまるで遠足にでも出かける様。
家族も笑顔で見送りました。
初陣は戦場の空気に触れさせる為のもの。
体の小さな少年達が最前線で戦うことは、
殆どありません。

最新の兵器と戦術で押し寄せる西軍に対し、
味方はどんどんやられてしまい、
少年達が最前線で戦うことになりました。
血気盛んであるが故に死へと進んでいく。
また初戦では怖気づいていた少年達が、
幾度の戦闘で多くの隊士の戦死を乗り越え、
大人が一目置くほどの戦士となった例も。

封建社会では身分制度がつきまとい、
上級藩士の子弟は安全な場所で、
下級藩士や足軽の子弟は、
早くから最前線へ送られています。
この身分制度が西国諸藩に遅れをとり、
結局は数々の悲劇を生みます。
一昨年の大河ドラマ八重の桜では、
什の掟が会津精神であると語られますが、
上級子弟は什の掟より身分制度が優先され、
年長者の言うことを聞かず、
卑怯な振る舞いをし、
ならぬものをなそうとします。
この身勝手が戦闘において最も重要な、
命令」を破るという行為に発展し、
白虎隊の悲劇を生みました。

本書は少年達の逸話が記載されていますが、
最後は16歳で日本を手にした少年の話。
広いとはいえ門塀は崩れ落ち、
手入れが行き届かず荒れ果てた庭を、
裸足で走り回っていた少年が、
江戸城の広さと豪華さに驚いたという話を、
三条実美は何度も語って涙ぐんだそうです。

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福岡県京都郡 甲塚墓地/郡長正の墓
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