後柏原天皇の時代(1500-1526)に、
二王三郎という鍛冶が移住し、
ここで家業を営んでいたとされ、
三郎は八王子権現を信仰いた為に、
分霊を勧請して朝夕参拝していました。
するといつの頃か泉が湧き出すようになり、
この泉の水で焼刃を作ると、
非常に良い太刀が出来るようになり、
世に名高い名工になったという。
更にその泉に浸かると病気が治り、
非常に重宝していたようです。
やがて月日が流れて泉は枯れますが、
寛政8年(1796)に村の老人市郎兵衛に、
夢でお告げがあったようで、
その翌日より再び水が湧き出るようになり、
以降は人々がこの水を求めて集まり、
泉に体を浸して病気を治癒したという。
「八王子神社」。
その創建年代は不詳ですが、
八王子権現として三郎の勧請した分霊を祀り、
元禄14年(1701)に再建されたという。
泉で癒された広島藩家老の内儀が、
鳥居を奉納した記録も残っており、
地域で信仰された様子が伺えます。
明治3年に大地神社と改称しますが、
地元民に定着しなかったようで、
明治26年に八王子神社となりました。
「八王子よみがえりの水」。
1億年前の破砕帯から染み出る湧水。
訪問時も絶えず水を汲みに来る人がおり、
写真の撮影を待たされました。
水割り、お茶、珈琲、料理に適し、
非常に万能なおいしい水であり、
冷やして飲む水の喉越しは格別という。
「水風呂」。
浸かると病気が治るとのことで、
水風呂も設置されていました。
ラドンを含む軟水の冷鉱泉で、
弱いながら静菌作用があるとされ、
雑菌除去で皮膚病が改善されるとのこと。
流石に水風呂に入っている人はいませんが、
かつてはこの冷水を沸かしていたようで、
温泉として営業していたようです。
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