鯖街道は小浜と京都を結ぶ街道の総称で、
特定の街道を指すものではなく、
何本もの街道を表す広義の呼称です。
主に海産物の輸送に使われましたが、
最も盛んに輸送されたのが鯖だった為、
鯖街道と呼ばれました。
今回訪問するのは鯖街道の中で、
最も有名な熊川宿跡で、
重要伝統的建造物群保存地区です。
熊川宿は小浜と今津の中間に位置し、
国境にも程近い場所。
小浜城主であった浅野長政により、
鯖街道の宿場町として整備されました。
近江側より散策。
「熊川番所跡」。
明治3年に廃止されて移築されていたものを、
元の位置に戻して復元させたもので、
番所遺構として全国唯一の例。
内部には刺又等の武器も設置されています。
「上ノ町」。
番所を越えると上ノ町。
熊川宿は上ノ町、中ノ町、下ノ町に分かれ、
上ノ町は近江側に最も近い為か、
運送業を営む家が多かったとされます。
人々は[京は遠ても十八里]と言いながら、
荷物を抱えて京都を目指したようです。
「大岩」。
不自然に街道沿いにある大岩。
子供達が登って遊んだという岩で、
不思議と落ちて怪我をする事がないという。
この事から[子守岩]とも呼ばれており、
子守りをしながらも街道を行き交う人々も、
見守っていたのでしょう。
「中条橋」。
上ノ町と中ノ町を繋ぐ橋。
往時は河内川に架かる木製の橋でしたが、
現在はコンクリート製の橋。
但し重伝建選定後に雰囲気を出す為、
手を加えて木製風にしています。
「中ノ町」。
熊川宿の中心である中ノ町。
リフォームされた新しいお店も多く、
一番観光名所っぽい場所です。
「旧逸見勘兵衛家住宅」。
中条橋の袂にある熊川宿を代表する町屋。
安政5年に建築されたもののようです。
伊藤忠商事2代目社長伊藤竹之助の生家で、
現在は宿泊も出来るとのこと。
「宿場館」。
上記の伊藤竹之助の寄附により、
熊川村役場として建てられたもの。
熊川宿や鯖街道の資料が展示されています。
「熊川陣屋跡」。
熊川陣屋は熊川の行政を担った場所で、
小浜藩より代官が派遣されていました。
背後の山は熊川城跡とのこと。
「菱屋」。
シェアオフィスとなった菱屋勢馬清兵衛宅。
菱屋は問屋を営んでいた旧家で、
宿場町役人として小浜藩の御用や、
町の自治にも貢献していたようです。
「倉見屋荻野家住宅」。
代々人馬継立を営んだ倉見屋荻野家の住宅。
主屋は文化8年(1811)築の熊川最古の町家で、
伝統的な町家の形式を示す貴重な建物です。
「まがり」。
中ノ町と下ノ町を繋ぐ枡形は、
[まがり]と呼ばれていたようです。
「下ノ町」。
ベンガラが塗られた町家が美しい。
こちらは少し閑静な感じですが、
それがまた良い雰囲気でもあります。
これらの町家の殆どが民家のようで、
普通に暮らしている模様。
■関連記事■
・滋賀県高島市 朽木宿跡
同じく鯖街道の宿場町。
・福井県小浜市 小浜城跡
小浜藩酒井家の居城跡。