司馬遼太郎」タグアーカイブ

「幕末」司馬遼太郎②

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前回の続き

「祇園囃子」
十津川郷士浦啓輔が土佐の山本旗郎と共に、水戸藩士住谷寅之介を暗殺します。
師の尊敬する人物を斬る心の葛藤。
名も言わぬ大物達との会見。そして、おしかけ女房。
暗殺後、山本は住谷の子息に仇討ちされる。
これが最後の仇討ち(異説有り)となります。

「土佐の夜雨」
吉田東洋暗殺事件。上士と郷士の軋轢は、対立に発展します
当時の土佐藩の事情と、違う立場の人間の心情が描かれてます。

「逃げの小五郎」
暗殺事件ばかりのこの本ですが、この話は暗殺から逃げ延びた桂小五郎を主人公にしています。逃げて逃げて逃げまくります。

「死んでも死なぬ」
高杉晋作登場です。でも主役は井上聞多です。
でも晋作のかっこいいエピソード満載のお話です。
中でも宇野東桜暗殺のくだりは鳥肌モノです。
お話の最後、聞多はなます斬りにされますが、母と蘭学医のおかげで助かっています。

「彰義隊胸算用」… 続きを読む

「幕末」司馬遼太郎①

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司馬遼の短編集です。
幕末の暗殺事件を題材に12の短編からなっています。
短編集ってのは空いた時間にさらっと読めるので大好きです。
この「幕末」は特に何度も読み返してます。

「桜田門外の変」
井伊暗殺で、唯一薩摩藩士だった有村治左衛門を主人公に、桜田門外の変を書いでます。
不器用でまっすぐな治左衛門が、薩摩の名誉を一身に背負って、暗殺に参加します。決行前の松子との淡い恋が泣かせますが、治左衛門の討死後、治左衛門の長兄と松子が結婚したというオチが、なんとも司馬遼な感じです。

「奇妙なり八郎」
新選組の基礎である浪士隊を結成し、幕府転覆を図った清河八郎の暗躍と、それを阻止しようとする幕府方の攻防。
しかし最後は「策士、策に溺れる」の教訓ともとれる最後を迎えます。
一転ハードボイルドな感じが、なかなか面白い内容です。

「花屋町の襲撃」
隊長の坂本龍馬を殺され、仇討ちを誓った陸奥陽之助(宗光)が、敵は新撰組と知り、新撰組を襲撃します。
敵の特定も襲撃の計画もズサンで失敗するべくして失敗します。
身を立てようと必死な後家鞘彦六は、維新後大阪権知事となりました。

「猿ヶ辻の血闘」
姉小路金知暗殺事件を題材に、薩摩の人斬り新兵衛と、会津の密偵が知り合いう。姉小路暗殺は新兵衛に擦り付けられますが、弁解もせず腹を切ります。
そして罪を擦り付けた会津の密偵も事件の翌日自害します。… 続きを読む