高杉晋作の葬儀

高杉晋作の神式の葬儀は、
白石正一郎奇兵隊幹部が話し合い、
白石が取り仕切りました。
下記は白石の作った谷東行主神葬略式

ーーーーーーーーーーーー
丁卯四月十六日  谷東行主神葬略式
一 忌の事
親の喪夫の喪は、妻子たる者ハ其日より
酒肉をたち慎むべし葬の時葬地にゆく道
中徒跣の事、寒中たりとも足袋を用ぶべ
からず
すべて忌ある人々は、皆すあしの事 
一 忌の事
親族の喪中は妻子はその日より酒や肉を
絶ち慎む。
葬儀の際は道中は徒歩。寒中でも足袋を

用いない。
すべての参列者は皆、素足の事。

一 棺
吉田迄の道中ハ病気の体、吉田着の上
旅宿にて神祭の事但し、馬関を夜に入
はやく出立、
凡四ツ頃吉田着、直様其夜葬ふるべし
 棺
吉田までの道中は神妙な雰囲気で、
吉田の旅宿で神祭を行う。
馬関を暗くなって出発。
晩十時頃に吉田に着き、その夜葬る。
一 神祭用具の事
先ツ棺のうしろに屏風にても立廻シ、
前の方に机一脚長サ凡一尺居ヱオキ、
此上に献供の三方ヲ五ツならぶる事、
献供の品ハ
・御酒一対・野菜物・海草類・御菓子類
但し時の木の実に干菓子ヲ取合セ可然か
一 神祭用具の事
前の棺の後ろ側に屏風を置き、
前方に机を一脚。長さは約30cmに
据え置き、
この上に献供の三方を5つ並べる。
献供の品は 

・御酒一対・野菜・海草類・御菓子など
但し旬の木の実には干菓子を合わせて

然るべきか
一 右の机前に又壱ツ小キ机を居ヱおきて、
真中に神主イハイ・香炉・香合・両脇に
花瓶二ツ、灯明二ツおくべし 
但し灯明ハ野辺に持ちゆき、
風にきえぬやうに、かねてあんどんを、
用ひおくべし、
花は榊を用ひ候事
一 右の机の前にもうひとつ小机を据え置き
真ん中に神主位牌・香炉・香合・両脇に
花瓶二つ、灯明二つおく。
但し灯明は野辺に持ってゆくから、
風に消えぬようにあらかじめ行燈を

用意しておく事。
花は榊を用いる事。
一 献供相済、親子兄弟ヲ始用夫迄、
順々焼香すべし。
但し各手を柏ち拝し、丁寧に致すべし
一 献供が済んだら親子兄弟を始め、
用夫まで順々に焼香する
但し各自、拍手や礼を丁寧に致す事。
一 此時出たちとして親子始其外へも
一 統に膳を居ヱ候事。
但し平皿汁とも手軽にして
魚肉用ふべからず、勿論無酒の事
一 この時の出立ちの膳として、
親族その他へ膳を居える事。
但し平皿・汁とも手軽にして
魚や肉を用いないように、勿論酒も無し。
一 右相済時刻見合せ、凡夜半頃葬送の事
一 全て済ませて時刻を見合せ、
夜半頃に埋葬する事。
一 是ヨリ先キ葬地にて土地の神を祭るべし
但し通例の清浄なる机か、
又は八足にても用意し、
○神酒○洗米○肴類供すべし、
 魚ハ干魚にてもよろし、
是ハ死骸を埋メ土地を穢すゆゑに、
其御断りを申す心得なり、
勿論忌服なき者祝詞を白し祭るなり
一 是より先埋葬地にて土地の神を祭ように
但し通例の清浄なる机、
又は八足台を用意し、
○神酒○洗米○肴類を供える。
魚は干物でも良い。
これは死骸を埋め土地を汚すため、
そのおことわりを申す意味。
勿論服喪ではない者が、祝詞を申し祀る事。

旅宿ヨリ葬地迄の行列
一 大松明二ツ
但し棺の前凡五六間程おきて左右也
一 大松明二つ
但し棺前約五~六間おいて左右に配置。
一 箒持二人
但し棺のまえ凡そ弐間程おきて同断
一 ホウキ持ち二人
但し棺の前約二間おいて左右に配置。
一 棺
但し棺舁四人各白木綿無紋のはつぴ着用
一 
但し棺担ぎ四人は白木綿無紋法被着用。
一 机一脚
但し先に旅宿にて用ひ候小き方、
其侭持参の事、
位牌、香炉、香合、花立、灯明等、
其侭持行也
一 机一脚
但し先に旅宿で使用したようなもの。
位牌、香炉、香合、花立、

灯明なども持って行く。
一 三方 壱ツ 供膳用、
但し葬地ニて右の机の上へニ置べし
○洗米○塩○野菜の類、
又ハ干物類ニても可然候、
各かハらけの少し大き分に盛てよろし、
五品程にて可然致か
一 三方 一つ 供膳用、
但し埋葬地にて右の机の上へ置く。
○洗米○塩○野菜の類、

または干物類を適当に。
それらを少し多めに盛る。

五品程度が適当か。
一 鎗・挟・箱・合羽・籠等、
此処に行列すべし
一 鎗・挟・箱・合羽・籠等、
一緒に行列する事。
一 大松明 二ツ
但し、右道具持ヨリ凡三間程おきて左右
一 大松明 二つ
但し右道具持よりおよそ三間おいて
左右に配置。
一 親類其外惣供
但し親・妻・子・血つゞきの者ハ、
婦人たり共葬地迄ゆくべし
一 親類その他参列者
但し親・妻・子・血縁の者は、
婦人も葬地までゆくべし
一 壙の深サ凡六尺、葬地壙の前の方、
手広く致し置べし、
是ハ前以用意之事
一 穴の深さは約180㎝。墓穴の前面に、
葬具を配置する。
これは前もって用意。
一 壙の前の方に、荒こも三四枚敷ならべ、
其上に棺及供物の机などすゑ置、
其まへの方のあらこものうへにて、
祭主 祝詞をよミ祝詞をハりて親子・
妻・兄弟順々に焼香・拍手・拝礼の事
一 穴の前面に荒菰を三~四枚敷き並べ、
その上に棺や供物の机など据え置き、
その前面の荒菰の上にて、

祭主が祝詞を読み祝詞を張って、
親子・妻・兄弟順々に焼香・拍手・
拝礼をする事。
一 焼香相済、棺をしづかに壙中におろし
埋メ候事 
但し埋メをハりて又銘々焼香まへの如し
埋メをハり焼香相済、
銘々帰宿の時、 一統一揖して
静かにすべし、
其時おもく忌のかゝる人を守護し、
家に持ちかへり、机の上に
すゑおき、存生の中の如毎日供膳、
神酒・菓子・魚類、
すべて何にても珍らしき物を奉るべし、
五十日の間ハ昼夜灯明あかしおく也
其後ハ、
毎年春秋両度に祭奉仕すべし、
勿論其月・其日にあたれる時ハ、
子たるもの前日より酒肉を禁ずべし
一 焼香が済んで、棺を静かに穴へ降ろし
埋める事。
但し埋めた後も皆焼香前の様に。
埋め終わり焼香も済み、
皆帰宿の時は会釈して静かにする事。
その時、親族を守護し、
家につれて帰り、位牌を机の上に
据え置き、生前の様に毎日供膳、

神酒・菓子・魚類、
すべて何にても珍しい物を奉る事。
五十日の間は昼夜灯明を点けておく事。
毎年春秋二度祭を奉仕する。
もちろん月命日に当たる日は、
子である者は、前日より酒肉を禁じる。

なんとなく葬儀の様子が伝わりますね。
例の如く現代語訳は僕がしているので、
間違ったところはご愛嬌で。

■関連記事■
奇兵隊の吉田転陣
 簡単には物事は運ばないもの。
カエルを食べたかった晋作
 奇兵隊陣屋を視察した際の出来事。
山縣の結婚式の日に晋作が危篤となる
 忘れられない結婚式にはなったでしょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です