日テレ年末時代劇スペシャル「白虎隊」

年末時代劇SP中最高の視聴率「白虎隊」。
59.4%だった紅白歌合戦の裏番組ながら、
17.2%という高視聴率を挙げた作品です。
当時より時代劇は古臭いものだと思われ、
中でも幕末は受けないとされていましたが、
その定説を見事に覆します。

堀内孝雄の「愛しき日々」も大ヒット。
堀内をフォークシンガーから、
演歌歌手に移行させた名曲となりました。

主演は森繁久弥
会津藩士井上丘隅を演じています。
この作品は誰が主役かといわれると、
誰だろうって感じ。
他の作品は里見幸太郎がメインなのですが、
この「白虎隊」では脇役です。
でも森繁が主役かといわれれば、
それはそれで微妙な気がします。
他と比べて確かに出番は多いですけど。

この井上丘隅は容姿どおりの爺さんで、
会津藩京都へ出兵する際はお留守番。
史実では京都に随行し、
鳥羽伏見の戦いにも参加しています。
会津戦争で自刃しているのですが、
このドラマでは最後まで生存。
他人物も死因死亡時期も結構違いました。

松平容保京都守護職拝命よりの情勢が、
流れるようにドラマチックに語られ、
容保の「時の流れがあまりに早すぎる」は、
このドラマを象徴しています。
幕末史というものが、
今より知られていない時期ですので、
相当考証も甘いのですが、
山本八重川崎尚之助も登場します。
このドラマが成功した理由は、
12月30日放送の第一部の出来。
しっかりと幕末会津史を説明し、
続きが気になるように作られていました。

第一部の最後の最後。
会津藩が京都で散々な目にあった後、
少年らが元気に登場しますが、
鈴木瑞穂のナレーションで、
この少年たちが壮絶な自刃を遂げるのは、
 半年後の事になる・・
と第一部が締めくくられる訳です。
視聴者は続きが気になる筈ですね。
脇役達のその後を語るスタイルは、
この「白虎隊」でも使われています。

ドラマチックな物語を作るため、
許される程度の史実変更を行っていますが、
幕末ファンを増やしたは功績です。

五稜郭」に続いて「白虎隊」を見直し、
比べてみれば少し作りが甘い気がします。
初見ではありませんので感動はしませんが、
視聴者を引き付けるような演出が多用され、
無知識で感動した人は多かった筈。
この作品が未だに話題になっているのには、
そういった理由があるのですね。

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