初番手行日誌⑥

つづき。
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九日。上様少々御不快につき、
御登城が延期される。当番。
 この間外国使節同行の希望を出し、
 これが許されて内命が下った。
 心中ではとても喜んでいる。

十日。非番。何もない。
この日飯田余之助が病欠して代番する。
十一日。当番。何もない。
十二日。非番。
今朝、山縣半蔵が親の看病に帰国。
餞別として伏見扇を指し送った。
桂小五郎が公用で横浜浦賀鎌倉へ赴く。
別れの盃を某の部屋で三人で傾けた。

十三日。上様が瑞聖寺に御参詣。
某も同行を許された。詳細を心に刻む。
 先日の外国行内命に詩を作った。
  噺然奉命入雲津、爰國忘身敢讓人、
  只恨我生乏兄弟、闕如膝下慰雙親、

この間毛利番頭と沢山話した。
毛利登人と思われます。
実にこの国に二人と居ない人物である。

十四日。非番。朝飯後有備館で撃剣。
※有備館は江戸藩邸にある藩校。
夕飯後に少々読書。
夜に井上二水が来た。
少し話して帰った後でニ水がまた来た。
二水は明日手塚立蔵を訪問するという。
夕飯後に毛利を訪問。
※この二水は誰でしょうか?
 二水で冷を意味するらしいので冷泉
 水という事から玄瑞の可能性も。


十五日。当番。御登城あり。
今日は初めて御配当物があった。
 横麻花色の半上下 一式
 右のとおり御配当下される。
 廻礼して各所に行った。

十六日。非番。無門外。
有備館で撃剣を十本余りする。
夕飯後に武藤留槌が来談。
※武藤は晋作の妹タケの夫。
少し飲んで留槌は帰った。
酔って寝ていると直八が来た。
少し話した後で直八は去る。
結髪。読書。夜に野木生が来て話す。
※野木は乃木初太郎と思われます。

十七日。当番。
今日は書經の会が有った。
夜に大地震
冷泉氏と同じく眠っていたが、、
一番に御鈴口まではせ参じた。
地震はすぐに静まる。夜九ッ半時なり。
※この地震は奥州で発生した地震。
 マグニチュード6.7だったという。
 江戸では大地震とまではいかないかも?


十八日。朝、萩野が来て話す。
萩野が帰った後に少し読書。
この頃は英國史を読んでいる。
この日は薩摩藩邸まで行ってみるが、
中には入っていない。
魚屋に行って帰る。

十九日。当番。
この夜に故郷から手紙が来た。
この日は剣術稽古の御観覧があった。

廿日。今日は御前へは行けない。
内居して読書。蔵田恭蔵が来て話す。
外国行の件を愚妻に伝える手紙を書く。
彌次郎は明朝出発するので、
品川弥二郎
書状を国許に届けてもらう。
夜に野木生が来て話す。

つづく。
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