「人斬り以蔵」司馬遼太郎

久々に出張に行きました。
片道3.5時間の新幹線での読書の為、本屋に立ち寄ります。
一冊完結程度がちょうどいいのですが、選びかねて司馬遼のコーナーで、「人斬り以蔵」を見つけました。
前からこのコーナーで見かけてはいますが、なんだかあまり食指が動かず手に取りさえしませんでした。

時間もないし読んでみるかと手に取り裏を見ると、短編集だと気がつきました。
なんだ。短編集ならもっと早くに読んどけば良かった。
基本的に僕は短編集大好きなんで・・・。

さて、前置きが長くなりましたが、「人斬り以蔵」です。

「鬼謀の人」は大村益次郎のお話です。「花神」を読んだことがありますので、
この短編は、「花神」の総集編のように感じました。この大村益次郎も司馬作品によってイメージを固定された人物の一人でしょうね。

「人斬り以蔵」は、岡田以蔵のお話。数々の龍馬作品に脇役として登場しますが、なかなか主役の作品はない。ですが、内容が内容なだけに主役にすると、
とてもやるせない気分にさせるお話になります。

「割って、城を」おりょ??いきなり江戸最初期の話になりました。
幕末の話の短編集とばかり思っていたので、頭がこんがらがってしまいました。
お茶大名古田織部のお話です。

「おお、大砲」は、高取藩のブリキト―スと呼ばれる大砲のお話。天誅組が攻めてきて、それを迎え撃つブリキトースは、全く威力のない役立たずの大砲であったが、以外に天誅組を追い払う事ができた。そういうものか?と考えさせられるお話。

「言い触らし団右衛門」・・また江戸最初期の話。塙団右衛門が主人公。
戦国時代~江戸時代初期の話って痛快ですよね。この話は特にそう。

「太夫殿坂」では、前のお話が痛快であっただけに、暗く、じめじめした雰囲気が際立つ復讐劇です。物語の中頃まで幕末の話かどうかわかりませんでした。

「美濃浪人」は所郁太郎が主人公。井上聞多を手術して助けた人というのは知ってるが、かなりイメージが変わりました。これはかなり司馬のアレンジが入ってるようです。
ただ、このお話に出てくる句に、男として考えさせられるものがありました。

「売ろう物語」は後藤又兵衛が主人公。不運の部将ですが、生き方や行動に痛快さがあるので、お話が暗くならず、読むものに涼やかな風を吹かせてくれます。

幕末・江戸前期と交互に時代を往復させることに、何らかの司馬の意図が感じられますね。
まあ、全部読んでみて読み物としてとっても面白かったです。
でも、僕は司馬の濡れ場シーン嫌いです
なんで入れるのかな?って思います。

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