富山県富山市 富山城跡

富山藩は加賀藩の支藩。
加賀藩2代藩主前田利常が家督を譲る際、
次男の前田利次に富山10万石が与えられて立藩。
同様に三男の前田利治が、大聖寺7万石を与えられ、
大聖寺藩も立藩されました。

藩庁の富山城跡は現在城址公園となっています。

城址公園」。
富山城の本丸及び西ノ丸跡に造られたもので、
よく整備された綺麗な公園です。


富山市郷土博物館(富山城)」。
堀沿いに堂々と建つ立派な天守ですが、
実はまったく史実に沿わない模造天守
昭和29年の富山産業大博覧会の際に建設されたもので、
大博覧会のパビリオンの一つでした。

こういう模造の天守は、意外と全国にあったりしますが、
史実に沿わない歴史的価値の無いこういう天守は、
歴史ファン達にはとても酷評されていたりします。
模造はダメだとか、鉄筋コンクリート製は価値無いとか、
意匠が当時と違うとか、現存天守以外は認めないとかね。
でも個人的な意見としては「無いよりあった方がいい」と思う。
できれは、なるだけ忠実に造って欲しいよねって感じです。


鉄御門跡」。
本丸への大手口。
当時は枡形門形式の鉄門が建てられていたという。


本丸と西ノ丸を分ける堀は埋め立てられており、
公園として綺麗に整備されています。


佐々成政歌碑」。
郷土博物館の脇にある歌碑。
富山城は、佐々成政の居城でもありましたが、
成政は織田信長の死後に羽柴秀吉と反目。
羽柴勢10万がこの富山城を包囲しました。
成政は降伏して大坂城に移されましたが、
ほとんどの所領が没収されています。
何事も かはりはてたる 世の中に
 知らでや雪の白くふるらん
訳:何事も変わり果ててしまった世の中であるが、
  そんな事は知らないように
  毎年と同じように雪が白く降り積もっている

戦国時代に限らず、歴史ってのは移り変わりますよね。
現代だって10年前とはまるで違います。
この短歌が心に沁みる人達って、
結構沢山いるのではないでしょうか?


前田正甫公像」。
富山藩2代藩主前田正甫の銅像。
10万石を分知されて立藩した富山藩でしたが、
加賀藩よ与えられた所領は、
そこまで良質の知行地ではありませんでした。
そこで正甫は地場産業に力を入れようと考えて、
多々良場などを開発して製鉄業を行ったり、
製薬業を奨励したりしました。
富山といえば「越中富山の薬売り」ですね。
この像は製薬業興隆の祖と称えて建立したもの。


本丸御殿庭園」。
大規模な日本庭園が造られていますが、
訪問時は水が張っていませんでした。


千歳御門」。
富山城唯一の現存建造物。
10代藩主前田利保の隠居邸千歳御殿の正門で、
現在の搦手門跡ではなく東出丸に建てられていたもの。
明治5年に富山市米田の農家に払下げられ、
郊外に移築されていた為、空襲による焼失を免れました。
平成17年に市に寄贈。再移築されています。
千歳御門の三間薬医門という形式は、
ここの他は東大の赤門だけのようです。
※赤門は元加賀藩上屋敷の御守殿門。


佐藤記念美術館」。
櫓を模した美術館。こちらも城風の建物ですが、
史実には沿わない模造の建物です。
茶道具、古陶磁、日本画などが展示されているとの事。
富山城には櫓が3基あったとされていますが、
どういうものか?どこに建てられていたのか?
本当にあったのか?
まったくわかっていないようです。


千歳桜」碑。
千歳御殿には沢山の桜が植えられていたようです。
その桜は千歳桜と呼ばれていたようですが、
後年になって桜が老化したために、
新たに松川の堤に桜を植樹し、この碑を建てたとの事。
桜の名所である松川の堤は、この時植樹されたもの。

10代藩主の利保が隠居する際、次代の利友は若年であった為、
利保や重臣らが藩政を運営させていましたが、
利友の生母で側室の毎木が、江戸家老富田兵部と結託して、
次第に藩政を掌握いった為、国元の家臣団と対立。
富山派江戸派の派閥に分裂して抗争することになります。

嘉永6年に利友は早世してしまいますが、
弟で同じく毎木の子利聲が跡を継いだため、
次代になってもその抗争は継続。
この状況を憂いた利保は、宗家を介入させて事態を収拾させ、
富田は切腹、毎木は蟄居、利聲は強制隠居となりますが、
代わって藩主には、宗家より前田利同が迎えられた為に、
以降の藩政は加賀藩の影響下に置かれる事となります。

幼いながら宗家より迎えられた新藩主利同のもと、
家老山田嘉膳が藩政を運営していましたが、
これを快く思わない派閥の藩士島田勝摩が、
富山城三ノ丸で山田を惨殺。
島田は切腹を言い渡されましたが、
その後も継続して加賀藩が藩政に介入し続け、
そのまま維新を迎えています。

富山藩の幕末はあまり知られていませんが、
なかなか面白いようですね。
地元でなければなかなか詳しくは調べられませんが、
そういうのを題材にした本もあるという事で、
機会があれば取り寄せてみたいと思っています。

【富山藩】
藩庁:富山城
藩主家:利次流前田家
分類:10万石、外様大名(加賀藩支藩)

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