延寿寺は川尻にある天台宗の寺院。
西南戦争時に西郷軍の野戦病院となり、
各地から薩軍の戦死傷者が運ばれ、
850余名が埋葬されました。
後年になって遺骨は故郷に戻り、
その殆どは改葬されましたが、
境内に慰霊碑が建立されています。
「本堂」。
延寿寺は正和年間(1312-1317)に、
河尻武実が建立したとされています。
川尻氏滅亡後に衰退していますが、
熊本藩4代細川綱利の頃に復興。
藩の庇護を受けていましたが、
天保2年(1831)に洪水で流され、
天保8年(1837)に再興されました。
本堂はその時の再建と思われますが、
詳しくはよくわかりません。
「薩軍本営並野戦病院跡」碑。
西郷軍は川尻に入った際、
始めこの寺に本営を置いています。
2月21日の軍議で熊本城強襲に決すると、
その後に兵站基地となっており、
転じて野戦病院となりました。
「西南役薩軍戦没者墓碑」。
熊本三州会によって建立された墓碑で、
同会は大正5年より毎年慰霊祭を開き、
戦没者の霊を慰めているという。
改装された遺骨や墓碑は、
南洲墓地等に改葬されたと思われます。
「西南の役薩軍戦没者延寿寺埋葬者名」。
慰霊祭の第百回を記念して、
熊本三州会が建立した埋葬者銘碑。
延寿寺埋葬者828名の名が刻まれています。
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西南戦争での官軍兵の墓地。