柳井といえば有名な「白壁の町並み」。
岩国領のお納戸と呼ばれて栄えた町で、
各地の産物を満載した大八車が、
町中を往来してにぎわっていたようです。
柳井は甘露醤油が有名なようで、
天明年間に高田伝兵衛が創製した醤油を、
岩国領主に献上したところ、
「甘露甘露」と賞賛されたのが由来で、
芳香にして美味なる醤油のようです。
「白壁の町並み」。
古市金屋伝統的建造物群保存地区には、
江戸時代の商家の街並みが残され、
白壁が美しい風景を作り出しており、
それぞれの商家の軒下には、
金魚ちょうちんが無数に吊るされています。
「国森家住宅」。
柳井の豪商室屋国森家の住宅で、
反物の他にともし油やびんつけ油等で、
巨万の財を成した豪商の本宅。
この建物は近世商家造りの典型として、
貴重な建物となっています。
金魚ちょうちんを眺めるみよちゃん。
赤と白の体に黒い眼の金魚ちょうちんは、
幕末期にさかい屋の熊谷林三郎が、
青森の「ねぶた」をヒントとして開発し、
伝統織物の柳井縞の染料を用いました。
林三郎の後も2代、3代と作られますが、
4代目は作らなかったようです。
これを惜しんだ洗張業長和定二という人が、
3代目から作り方を伝授してもらい、
4代目となって戦前まで作られましたが、
戦中戦後は作らなくなっていました。
後の昭和37年に周防大島の上領芳宏が、
文献でこれを知って4代目を探し出し、
その作り方を習って5代目となり、
現在は柳井の代表的民芸品となっています。
柳井は塩と柳井絣、醤油で繁栄しましたが、
数度の大火で焼失、再建を繰り返しました。
商家は壁を漆喰で塗る防火対策を施し、
大火から家屋を守るようになったようで、
これが現在も残る白壁の美しい町並みが、
出来上がった由来となっています。
柳井は西国街道からは大きく外れており、
街道の宿場町としての繁栄はありません。
それゆえ交通の要所たり得なかった為、
美しい街並みを今に残すこととなりました。
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