太宰府天満宮の門前六町のうち、
大町は門前町の中心地だったようで、
参拝者の為の旅館が軒を連ねていました。
現在も超有名な観光地である為、
年中通して非常に賑やかな町で、
名物の梅ヶ枝餅やお土産が売られ、
どこの店も観光客でいっぱい。
この門前町にある[松屋]は薩摩藩の定宿で、
現在も当時の建物が現存しています。
「松屋」。
江戸時代に旅籠と醤油屋を営んだ松屋。
当主栗原孫兵衛は筑前の豪商として知られ、
薩摩藩の定宿となった影響から、
多くの志士らと交友があったようです。
建物の3階部分は明治13年の建て増しですが、
2階部分は江戸末期のままで、
薩摩藩士らの宿泊した部屋も現存。
安政5年の安政の大獄の際には、
月照と西郷隆盛が薩摩に向かいますが、
その途中に一時月照を匿いました。
元治2年(慶応元年)に五卿が大宰府に来ると、
彼らと志士との密会の場を提供したとされ、
また慶応元年にはこの松屋にて、
西郷と月形洗蔵、山中成太郎が会合し、
薩長同盟について密議しています。
後に福岡藩で乙丑の獄が発覚し、
月形ら尊攘派が一斉に捕らえられますが、
当主孫兵衛もそのあおりで捕縛されており、
4年間も獄舎に繋がれました。
孫兵衛は明治13年に64歳で死去し、
近隣の光連寺に墓が建てられています。
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