「兵馬の旗」かわぐちかいじ

かわぐちかいじといえば、
沈黙の艦隊」や「ジパング」など、
ミリタリー漫画の作者かと思いきや、
意外と色々な作品かあるようです。
特に歴史モノも多く出しているようで、
現在も源平を描いた作品を連載中。

そのかわぐちかいじが、
戊辰戦争を描いた作品が「兵馬の旗」。

主人公は架空の人物宇津木兵馬
幕府旗本の次男坊で、
ロシア留学時にロシア貴族アンナと恋に落ち、
アンナとの間に息子を設けるのですが、
祖国の一大事に単身帰国します。

幕府伝習隊の指図役となり、
鳥羽伏見の戦いに参戦するが幕府軍は敗北。
徳川慶喜逃亡によって混乱した状況の中、
大坂城の軍資金を江戸に運びます。

もう一人の主人公として、
薩摩藩士村田新八郎という人物が登場しますが、
実在する村田新八を付けたネーミングで、
薩摩藩士という以外に共通点がありません。
なんともややこしい。

彼は留学中に兵馬とアンナを助けますが、
鳥羽伏見の戦いで部下を殺された事から、
兵馬と因縁を持つこととなり、
以後は物語において不即不離の関係となります。

物語は戊辰戦争に終始し、
伝習隊の戦記のように進んでいくのですが、
実在の重要人物との絡み方が少し強引で、
政治案件に関わりすぎているように感じました。

とはいえさずが沈黙の艦隊の作者。
戦争モノとして上手に戊辰戦争を描いており、
鳥羽伏見宇都宮会津箱館と、
流れるように物語は展開。

アンナは途中、兵馬を追って来日し、
戦場で兵馬と再開するのですが、
そんな突拍子もない展開にもかかわらず、
意外とでしゃばらなかったので、
こういう展開にありがちな嫌悪感は感じず、
逆に良いアクセントに感じました。

先ほど政治案件に関わりすぎと指摘しましたが、
それだけに戊辰戦争のおおまかに知るには、
良い効果があったともいえます。
欲をいえば色々と兵馬を関わらせているのなら、
もっと北越の方にも関わらせて欲しかったかな。

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