兵庫県姫路市　善導寺

姫路藩の尊攘派を壊滅させた甲子の獄。
その殉難者の中心的人物が河合惣兵衛。
藩主酒井忠績は京都所司代を臨時に代行し、
京都に赴いた際はこれに惣兵衛も同行し、
諸藩の尊攘派志士と交流します。
特に三条実美と懇意になっており、
足しげく三条邸に足を運びました。

文久３年の八月十八日の政変以降は、
藩内で尊攘夷派の風当たりが強くなり、
婿養子の河合伝十郎の脱藩や、
同志達の暗殺事件が明るみに出ると、
惣兵衛は謹慎処分を受けて後に投獄。
賀川肇や家里松嶹らの暗殺の首謀者として、
切腹を命じられました。
惣兵衛の家は河合家老家の諸流で、
善導寺を菩提寺としています。

「善導寺」。
姫路城の南東に位置する浄土宗の寺。
甲子の獄で惣兵衛家は断絶していましたが、
明治元年に家名再興が許され、
惣兵衛の墓石も建立されています。

「本堂」。

「贈従四位河合宗元君之墓」。
元々は本堂裏手の墓地にありましたが、
墓所整備で本堂右前に移設されたようです。
この墓石は河合家を継いだ河合宗孝が建立。
容貌魁梧、性格激烈、尊攘の志篤く、
学問に優れ、武術に秀いで、
刀剣の鑑定を好み、
鈍刀を帯びた者には刀を贈ったという。
死の際には落ち着いた様子で切腹し、
自ら刃で首を斬ったとされています。
暗殺事件の黒幕であり死に際の見事さから、
土佐の武内瑞山のような人物だったのかな？

「河合家総墓」。
本堂裏手の墓地には、
惣兵衛河合家の総墓が整備されています。

「贈正五位河合傳十郎宗貞之墓」。
河合伝十郎の墓も移設されています。
伝十郎は姫路藩士境野意英の次男で、
惣兵衛の次女さきの婿養子となり、
惣兵衛と共に藩主に追従して上洛。
在京諸藩の尊攘志士達と交友します。
文久３年に御用商人児島又右衛門を暗殺。
天誅組の変では軍資金を調達しました。
元治元年に同志江坂栄次郎と脱藩しますが、
藩吏に捕縛されて甲子の獄の引き金となり、
脱藩の罪で斬首となりました。
無辺流槍術の達人であったようです。