越前勝山藩の藩医であった秦魯斎は、
藩主小笠原長貴や世子長守の病を治し、
藩主及び藩内で絶大な信頼を得ていました。
越前勝山藩に藩校が無いのを憂い、
家老の林毛川が藩政改革に乗り出すと、
人材育成が藩には不可欠であると進言。
自分の所蔵の書籍と数百両の金を献じて、
越前勝山城の三之丸に、
藩校読書堂を開設させました。
やがて読書堂は成器堂と改称され、
秦は学頭として指導と経営にあたります。
成器堂は儒学以外に西洋医学、蘭学、
兵学、礼法等を教え、
教授には秦や林毛川の他、
丸山鳴石、林雪蓬、安田三渓らがあたり、
藩士の育成に力を注ぎました。
「旧成器堂講堂」。
神明神社の境内に移築された講堂。
瓦には小笠原家の家紋「三階菱」が見え、
往時の外観で保存されているとのこと。
市街北部の布市へ。
「成器堂演武寮」。
演舞寮は文武両道を奨励する成器堂で、
剣術や槍術の道場として利用されたもので、
布市の道場が大火で焼失した際に、
買い取られて移築されたもの。
成器堂門も移築現存しているとの事ですが、
時間の関係で訪問していません。
これ程藩校の建物が残っている例は少なく、
全国的にも大変珍しいようです。
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・宮崎県日南市 飫肥藩校振徳堂
飫肥藩の藩校振徳堂。
・長崎県大村市 五教館跡
大村藩の藩校五教館の跡。
・岡山県総社市 浅尾陣屋跡
藩校が研修センターとなっています。
・兵庫県姫路市 林田陣屋跡
藩校敬業館の講堂が現存しています。