今年はCOVID-19の大流行に終始しました。
そんな中でアマビエという妖怪が、
疫病退散にご利益があるということで、
SNSを中心としてブームとなり、
現在は厚生労働省まで使用している。
はて?子供の頃に読んだ妖怪辞典に、
そんな妖怪いたかなぁ???
いたのかもしれませんが記憶に無い。
とにかくメジャーではないですよね。
それを妖怪掛け軸の専門店が発信し、
瞬く間にメジャー妖怪となったようです。
・・んで調べてみるとこの妖怪は、
弘化3年に肥後国の海に現れたのが初出。
弘化が幕末かは議論の分かれますが、
この年は孝明天皇が即位した年であり、
徳川家茂や和宮内親王が生まれた年ですし、
無理やり幕末にこじつけてみて、
アマビエを取り上げてみます。
弘化三年四月中旬の記載のある瓦版。
肥後国海中え毎夜光物出ル所之役人行
見るニづの如く者現ス
私ハ海中ニ住アマビヱト申
者也当年より六ヶ年之間諸国豊作也併
病流行早々私シ写シ人々二見せ候得と
申て海中へ入けり右ハ写シ役人より江戸え
申来ル写也
※肥後の海中に毎夜光る物が現れるので、
役人が行ってみると図のよう者が現れ、
「私は海中に住むアマビエと申す者なり。
今年より六年間諸国は豊作となるが、
疫病も流行るので、
早く私の姿を絵に描いて人々に見せよ」
と申して海中に消えた。
右の絵は江戸に届いた絵の写しである。
これがアマビエの初出で唯一の出典。
熊本藩の文書や地域伝承にも存在しない。
つまりデマの可能性もあるようですが、
一説では尼彦という妖怪ではないかとされ、
尼彦の目撃例は全国に多くあるという。
尼彦は、
「海から現れて豊作と疫病を予言する妖怪」
とのこと。そのものズバリですね。
アマビエは尼彦の誤記でしょう。
さてアマビエ(尼彦)の予言が当たったのか?
諸国が豊作かはよくわかりませんが、
疱瘡は何年か流行っていたようで、
高杉晋作も嘉永元年に疱瘡を患います。
晋作はアマビエの絵を見なかったから、
疱瘡を患ってしまったのでしょうか?
それともアマビエと誤記した為、
疫病退散のご利益が効かなかったのかな?
とにかく疱瘡流行は何年か続いたようです。
厚生労働省もアマビエではなく、
尼彦に変えた方がいいかもね。
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