愛知県田原市　霊巌寺/田原藩三宅家墓所②

つつき。
①/②

「海巌院殿源徹了淵大居士」。
挙母藩(2度目の)2代、
田原藩初代藩主三宅康勝の墓。
3代当主三宅康盛の長男として生まれ、
父の死後に家督を相続しました。
寛文4年(1664)に田原藩へ転封。
大坂加番を３度も務めています。
貞享4年(1687)、死去。

「道巌院殿源光俊明大居士神儀」。
田原藩2代藩主三宅康雄の墓。
4代当主康勝の長男として生まれ、
父の死去に伴い家督を相続。
日光祭祀奉行、寺社奉行、奏者番など、
幕府の要職に就任した他、
江戸城各所の門番を務めています。
享保11年(1726)、死去。

「春巌院殿源恭良性大居士神儀(右)」、
「寂巌院殿源性了閑大居士神儀
　秋江院殿月窓貞船大姉(左)」。
3代藩主三宅康徳と、
4代藩主三宅康高及びその室の墓。
3代康徳は2代康雄の次男として生まれ、
父の死去により家督を継ぎました。
徳川吉宗に倣い目安箱を設置していますが、
災害や公費の出費で藩財政は困窮。
倹約令などを行っています。
延享2年(1745)に隠居して家督を譲り、
宝暦3年(1753)に死去しました。
4代康高は3代康徳の長男として生まれ、
父の隠居により家督を相続。
宝暦5年(1755)に隠居して剃髪し、
南坊流10世宗匠として諸候の師匠となり、
茶人とて余生を過ごしたようです。
寛政3年(1791)、死去。

「喝巌院殿源覺圓海大居士神儀」。
5代藩主三宅康之の墓。
府内藩4代藩主松平近貞の次男に生まれ、
4代康高の婿養子となって家督を相続。
財政再建の為に多くの改革を実行しますが、
どれも効果は見られずに失敗しており、
安永9年(1780)に隠居。
享和3年(1803)に死去しました。

「節巌院殿源忠義堅大居士神儀」。
6代藩主三宅康武の墓。
5代康之の三男として生まれ、
父の隠居に伴い家督を相続。
日光祭祀奉行に就任していますが、
弱冠23歳で急死しています。

「瑞巌院殿源宗義鼎大居士神儀(右)」、
「碩巌院殿源瑞寂湛大居士神儀(左)」。
7代三宅康邦と10代三宅康明の墓。
7代康邦は5代康之の四男として生まれ、
兄の康武が急死してしまった為、
急遽末期養子として家督を継ぎましたが、
彼も29歳で早逝しています。
10代康明は8代三宅康友の三男で、
９代の兄康和の早逝に伴い跡を継ぎますが、
彼も27歳で死去してしまいました。

「黙巌院殿源幽了徹大居士神儀
　黙笑院殿美山麗容大姉」。
8代藩主三宅康友とその室の墓。
5代康之の六男として生まれ、
兄の死去に伴い家督を相続。
2度の大坂加番などを務めており、
文化6年(1809)に46歳で死去しました。

「篤巌院殿源底透徹大居士神儀」。
9代藩主三宅康和の墓。
8代康友の次男として生まれ、
父の死去に伴い家督を相続します。
藩校成章館を創設するなどしていますが、
文政6年(1823)に26歳で病死しました。

左から、
「偕樂院殿巴江感亨大居士」、
「大康院壽岳保亀大居士
　天真院殿弧峰霊鶴大姉」、
「康寧院殿霊海彗涛大居士
　娞安院殿環江智源大姉」、
「忠強院殿報国仁勇大居士神霊
　雪心院殿幾室貞香大姉淑霊」。
「吉祥院殿陸道胖翁大居士神霊」。
11代藩主三宅康直、
12代藩主三宅康保とその室、
田原三宅家16代当主三宅康寧とその室、
17代当主三宅忠強とその室の墓。
18代当主三宅直胖の墓。
11代康直は姫路藩4代酒井忠実の六男で、
10代康明の末期養子として迎えられます。
姫路藩からの持参金をあてにしたもので、
渡辺崋山や真木定前らはこれに反対し、
弟三宅友信に跡を継がせるべきとします。
しかし結局は康直が迎えられる事となり、
11代藩主として藩政改革に着手。
自らの藩主就任に反対した崋山を登用し、
様々な改革に着手していますが、
やがて天保の大飢饉が発生。
予め設置していた報民倉による備蓄により、
領民の死者を出す事はありませんでしたが、
大被害を受けてしまい改革は停滞。
嘉永3年に隠居しています。
明治26年、死去。
12代康保は8代康友の四男友信の長男。
友信は崋山から次期藩主に推されますが、
結局姫路藩から康直が迎えられた為、
崋山は友信の子を継嗣とする事を誓約させ、
康直は隠居後に康保に家督を譲ります。
家老で砲術家でもある村上範致を登用し、
財政再建や軍制の西洋化に着手。
廃藩後は久能山東照宮宮司など務め、
明治28年に死去しました。
16代当主康寧は巴江神社祠官、
津島神社社司を務め、大正7年に死去。
17代当主忠強は壬生藩8代鳥居忠文次男。
陸軍騎兵大佐だったようですが、
兄の鳥居忠一夫婦と車に乗った際、
京王電車と衝突事故を起こして3人共死亡。
18代直胖は小城鍋島家からの養子。
貴族院子爵議員を務めたようです。

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