「お〜い!竜馬」は武田鉄矢の原作、
小山ゆう作画の漫画。
連載当時はヤングサンデーを購読しており、
リアルタイムで読んでいました。
単行本としては全23巻の大作ですが、
幕末の入門編としてお勧めできる漫画です。
例えば三国志を知りたいという方には、
史書の「三国志」や「三国志演義」ではなく、
やはり「横山三国志」や「蒼天航路」を薦めます。
幕末を知りたいという人には、
まずは司馬遼太郎を紹介したいところですが、
なかなか活字はハードルが高い。
そういう場合はやはり漫画が丁度良い。
色々考えると「お〜い!竜馬」がベストか?
もちろん原作が武田鉄矢ですので、
坂本竜馬がヒーロー過ぎではありますが、
※本作品では「龍馬」ではなく「竜馬」。
「横山三国志」も劉備玄徳が聖人君子過ぎで、
史実とはだいぶ違っています。
※劉備は「蒼天航路」が史実に近い。
まずはあらましを知って頂き、
それから幕末に深く入って頂けれは、
幕末ファンも増えるのではないでしょうか。
作品の描写としては結構グロい場面もあり、
また小山ゆうの絵も好き嫌いがあります。
その二つの条件をクリアすれば、
幕末の雰囲気を十二分に感じれますし、
非常に優秀な漫画であると思います。
上記したようにグロ描写は多いのですが、
人物描写もかなりしっかり描かれており、
読者はお気に入りを見つける事が出来る筈。
幼馴染の武市半平太と岡田以蔵は、
それぞれ魅力的なキャラクターですが、
彼らの刑死に繋がるエピソードは、
かなり綿密に描かれていますし、
それぞれに最後の見せ場もあります。
如何せん竜馬がヒーロー過ぎですが、
主人公ですのでご愛敬としましょう。
漫画でも小説でもそうですが、
どこかに必ずフィクションがあります。
そのフィクションが妥当がそうでないかは、
作者のセンスも重要になるのですが、
読み手の寛容さも必要。
例えば竜馬と新選組の関係ですが、
当作品では結構絡んでいますし、
沖田総司とは特に親しい時期もある。
もちろん史実的には相容れぬ関係で、
フィクションを入れなければ、
何ら新選組は語られる事はありません。
また吉田松陰にも竜馬は会っており、
その際に松陰の狂気が描写されており、
これが物語後半の長州藩の情勢や心情が、
伏線のように生きてきます。
そういう訳で史実の後漢末~三国時代と、
漫画「横山三国志」の違いと同様に、
史実の幕末と漫画「お〜い!竜馬」を捉えて、
「幕末入門編」として読むのか良いと思います。
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