第1回 晋作文化祭と銘打った上映会が、
海峡メッセ下関で開催されたので、
興味があって行ってみました。
幻の映画[狼煙は上海に揚る]は、
昭和19年の日中合作映画で、
戦意高揚のプロパガンダ映画。
とはいえ稲垣浩監督、主演坂東妻三郎、
共演月形龍之介、梅熹、李麗香と、
当時の一流どころが創った娯楽作品として、
有名だったようです。
なぜ[幻]と呼ばれているかというと、
戦火で失われたと思われていましたが、
近年モスクワで発見された経緯から。
旧ソ連軍により接収されていたようです。
残念ながらフィルム缶3缶のうち、
最初の1缶が欠けており、
途中からしか見る事が出来ませんが、
晋作の上海に到着から始まるので、
十分に内容は理解できました。
上映会場(海峡メッセ下関 国際会議場)
上映の前に落語と解説がありました。
関門地区で活躍する落語家さんの落語。
三千世界・・の都都逸を取り混ぜた話は、
前座にふさわしいウィットに富んだお話。
次に時代背景解説講演として、
晋作連顧問の平松さんの解説がありました。
この方のお話は毎度感心しますが、
今回は上海視察に関しての事だったので、
目新しい話は無かったのですが、
当時の様子を丁寧に説明されていました。
で[狼煙は上海に揚る]の上演。
阪妻の晋作ら上海視察団一行が、
上海に入港よりフィルムは始まります。
港には無数の中国船が停泊していますが、
撮影当時から80年前の上海の様子も、
さほど変わってない筈ですので、
晋作がみた風景と同じだった事でしょう。
[祖界]で列強諸国が我が物顔振舞い、
太平天国の乱の砲音が聞こえる中、
晋作らは町中に出て視察を行います。
太平天国の陳翼周と知り合った晋作は、
英国に支援の約束を得たと聞かされるが、
晋作はイギリスは信用できないと説く。
しかし陳翼周は同じキリスト教徒の我々を、
文明国イギリスが裏切る訳がないと頼る。
太平天国軍は英国の支援を得て、
アヘン撲滅に乗り出すのですが、
太平天国軍は英国に裏切られ、
鎮圧される事になります。
太平天国軍は退却を余儀なくされますが、
陳翼周は去る前に話がしたいと、
晋作を訪ねますが留守。
自分が来たことを言伝して去ります。
陳の家族は英国軍によって家を焼かれ、
父親も殺されます。
妹も連れ去れてそうになりますが、
晋作の手によって救われ保護されます。
晋作は通訳の姑娘を連れて、
太平天国軍を追い陳翼周を探す。
やっとのことで陳翼周に出会うと、
陳翼周は自分の過ちを認め、
欧米諸国すべてを祖国から叩き出す為に、
アジア人が手を握らなければならないと、
言葉の通じない晋作に告げます。
晋作は「わかる!わかる!」と頷き、
陳翼周と別れます。
・・と、まあこんな話でした。
プロパガンダ映画ですので、
伝えたい事は[鬼畜米英]なのですが、
そこに至るまでの経緯が、
大変よく描かれていました。
英人もけして鬼畜ではなく、
同情的な人物も配置しております。
英国軍が鎮圧に乗り出すあたりから、
ググッと英国の横暴がクローズアップされ、
陳の妹が恨みを涙ながらに語るあたりで、
反抗心をあおる演出がされていますが、
そればかりに終始しないのは、
最後に[アジア人の共闘]を訴えたことで、
実にさわやかなラストとなっています。
なかなか古い映画を見る機会は無いので、
大変貴重な体験でした。
来年は無声映画を上演するとの事。
是非とも見たいなと思います!
活動弁士付きで上映するそうで、
これもまた貴重!
是非とも来年も行きたいものです。
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