下関市上新地町　桜山神社(色々聞いてみた)

久々に桜山神社へ行きました。
今年やっと前原一誠が合祀されたらしい。

前原は松下村塾生で奇兵隊にも参加し、
功山寺挙兵にも単騎で参加。
小倉戦争では参謀心得として、
総督である晋作の右腕となり、
晋作が退いた後は後任の参謀となりました。
これだけ維新に貢献した人物なのですが、
最後に萩の乱を起こして処刑されている為、
桜山招魂社に合祀されていませんでした。

その前原一誠が有志らの努力の末、
ようやく合祀されたという訳です。
合祀奉告祭(創建祭と合わせて行われた)は、
8月7日に行なわれたのですが、
その日は出張で参加できませんでした。

で、はや10月となりましたが、
遅ればせながらお参りに行きます。

「桜山神社大鳥居」。
行ってみて気が付きましたが、
訪問日は[秋季大祭]の日でした。
※10月16日の事です。
16時頃に行ったので終わってましたが。

「社殿」。
秋季大祭の後でテントが建てられています。
既に大祭も終わって神職の方は片づけ中。
社殿は招魂場の建設中に五卿が視察した際、
三条実美が社殿もあった方がいいと発案し、
社殿が建てられるに至りました。
これが招魂社のスタイルとなります。

「桜山招魂場」。
社殿裏に391柱が建てられています。
県内にある招魂社の中でも規模が違います。
他の招魂社が大東亜の英霊も合祀する中、
幕末維新の志士のみを祀っています。

前原の霊標(というか立札)は招魂場の外。
これは10年前の130年祭の時、
前原の顕彰に尽力する有志が建てたもの。
合祀に伴い霊標が建てられてるのかと思い、
片づけをしている神職さんに聞いてみると、
親切に色々教えてくれました。

招魂場に霊標は建てられていないとの事。
合祀は祭神として祀られるという意味で、
墓を新しく建てるわけではないそうです。
前原一誠程の有名人ですので、
霊標があった方が良いと思うのですが、
それは他の神霊との兼ね合いがあるとの事。
招魂場の霊標は391柱だけですが、
合祀されている神霊は現在857柱で、
等しく祀られている神霊の中で、
前原だけ特別視できないというわけ。
なるほど。

また今回の合祀は前原一だけではなく、
今回は前原を含め6人が合祀されました。
①前原一誠(42)　
　萩の乱で刑死。贈従四位。
②西村清太郎則義(18)
　奇兵隊士。生野の変で自刃。
③安本寅三(?)
　長府報国隊士。下関戦争で戦死。
④民蔵(22)
　奇兵隊夫卒。小倉戦争で戦死。
⑤志熊宇八(38)
　第一大隊夫卒。戊辰戦争で戦死。
⑥森寅次郎信清(15)
　干城隊附属兵。戊辰戦争で戦死。

以上が合祀された神霊なのですが、
今まで合祀されてなかったのが不思議。
前原は反乱を起こしたので特殊ですが、
他は合祀基準を十分に満たしています。
登録漏れなどかあったのでしょうか？
特に③の安本は大乗寺に墓のある人物。
※記事はこちら。
報国隊の中でも最初期の戦死者でしたので、
手違いで漏れていたのかな？

他にも色々聞きました。
招魂場建立後の最初の大祭では、
吉田から奇兵隊が行軍し、
後の靖国神社初代宮司青山清と、
晋作の鎧直垂を着用した白石正一郎が、
大祭を取り仕切ったそうです。
※青山は吉田栄太郎に、
　年麿(稔麿)の名を与えたとされます。

それから霊標について。
雨の日しか見られない姿。

色が違うのがわかるでしょうか？
雨に濡れると建立時期がわかるようです。
現在は社殿の後ろに並ぶ霊標ですが、
昔は社殿を囲むように建っていました。
それを並べ替えたそうなのですが、
その際に功績順に並べたらしい。
「等しく祀ると言ってる割に、
　有名どころが前じゃん！」
と思われた方。
昔はこの並びではなかったんですって！

で、せっかくお話が出来たので、
思い切って聞いてました。
例のアレ(記事はこちら)の件。
神職さんは[鋭いですね]と答えられ、
その経緯を教えてくれました。

市から要請があった際に悩んだようですが、
お龍は桜山招魂場の歌を詠っており、
茶屋あけぼのも招魂場の為に設けられ、
あけぼのを訪れた志士達を、
お龍が招魂場まで案内していたらしく、
ゆかりある人物として許可したとのこと。
その設置場所も当時は崖であった部分で、
招魂場からも離されたそうです。
※矢印が招魂場の位置。
　説明版の前に石が埋まっていますが、
　そこより右側が昔の境内でした。
聞いてみて初めて知る事ですが、
やはり神社としても悩まれてたんですね。

ちなみにあけぼのがあった場所は不明で、
どこにあったのかわからないらしい。
昔[あけぼの]という旅館がありましたが、
関係性についてはわからないという。