佐賀県佐賀市　高傳寺/佐賀藩鍋島家墓所①

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高傳寺は龍造寺家家臣鍋島清房が創建し、
鍋島家の菩提寺となった曹洞宗の寺院。

「本堂」。
本堂は明治34年再建とのことで、
それ程古いものではありませんが、
かなり大きなものです。
ここには日本最大という大涅槃図があり、
本堂内の釈迦堂の御開帳の際に、
一部だけ一般公開されるという。

墓所には歴代藩主の墓が並んでいましたが、
11代鍋島直大は元主君の龍造寺家の墓を、
各地から集めて改葬、整備しており、
龍造寺家と鍋島家の墓所となっています。

集められた龍造寺家の墓は13～22代。
全て紹介するのも大変ですので、
肥前の熊と称された龍造寺隆信から。

「法雲院殿泰巖宗龍大居士(左)」。
龍造寺家20代当主龍造寺隆信とその室の墓。
一門の水ケ江龍造寺家出身でしたが、
19代龍造寺胤栄が嗣子なく病死した為、
その未亡人を娶って家督を相続しました。
隆信の相続に不満を持つ家臣らも多く、
これを抑える為に周防国の大内義隆と通じ、
大内家の後ろ盾を得て家臣らを抑えます。
しかし義隆は陶晴賢に殺されてしまい、
これに乗じ隆信を廃そうとする家臣により、
肥前国を追われて柳川の蒲池鑑盛に匿われ、
鑑盛の援助で反抗する家臣を排除。
その後は肥前で勢力を拡大して、
大友宗麟と争う大大名へと成長します。
耳川の戦いで宗麟が島津義久に敗れると、
弱体化する大友家の所領も切り取り、
九州は龍造寺家と島津家の二強時代に突入。
配下の有馬晴信が島津方に離反するに至り、
隆信は2万5000の大軍を率い、
島津家との決戦に臨みますが、
沖田畷の戦いで島津家久の奇襲に遭い、
討ち取られてしまいました。
戦国時代に総大将が討ち取られた例は、
この隆信と今川義元の2人のみです。

「龍洞院殿大雲宗長大居士」。
21代当主龍造寺政家の墓。
20代隆信の長男として生まれ、
隆信に家督を譲られていますが、
実権はその後も隆信が持ち続けましたが、
そのまま隆信は討死してしまい、
この為重臣の鍋島直茂を頼りました。
直茂は島津家から隆信の首級の返還を拒み、
島津家との対決姿勢を見せた為、
講和は有利に進んだという。
一時的に島津家の傘下に入りますが、
豊臣秀吉の九州征伐でいち早く離反し、
龍造寺家は島津攻めの先鋒として活躍。
所領を安堵されるに至りました。
政家は病気を理由に隠居していますが、
既に実権は直茂に移っていたようです。

「大隆院殿天祐宗春大居士(左)」。
龍造寺佐賀藩初代龍造寺高房とその室の墓。
21代政家の四男として生まれ、
病気を理由に父が隠居した為に、
5歳で龍造寺家を継ぐ事となります。
既に鍋島家の支配権は盤石となっており、
高房はこの状況に失望。
直茂の養女であった正室を殺害し、
2度の自害で死去しました。

龍造寺宗家は継嗣なく断絶しますが、
藩内には多くの一族が存在しており、
幕府が一族に家督の件を訪ねた際には、
一同が鍋島勝茂を推したという。

「高傳院殿日峯宗智大居士(左)」。
佐賀藩藩祖鍋島直茂と継室の墓
生母は龍造寺隆信の父と兄妹(姉弟？)で、
隆信とは義兄弟の契りを交わしており、
その右腕として勢力の拡大に貢献しました。
隆信討死の報には自害しようとしたとされ、
家臣に止められて混乱する家中を纏め、
龍造寺家で重きを成す事になります。
豊臣政権では龍造寺家は所領を安堵され、
次第にその実権は直茂が握るに至り、
朝鮮出兵での活躍を経て盤石となりました。
その後の関ヶ原の戦いでの立ち回りで、
内外共に実質的な支配者となり、
龍造寺家から鍋島家への禅譲が進められ、
嫡男鍋島勝茂が正式に佐賀藩主となります。
直茂は長命の81歳まで生きていますが、
その死は耳の腫瘍が原因の悶死とされ、
家督を奪われた高房の祟りとも噂され、
後世で鍋島の化け猫騒動として、
芝居などの題材となりました。

「泰盛院殿澤圓良厚大居士(中央)」。
初代藩主鍋島勝茂とその正室、継室の墓。
藩祖直茂の長男として生まれ、
父を補佐して龍造寺家の家政を担い、
朝鮮出兵でも父と共に武功を挙げています。
関ヶ原の戦いでは西軍として参加し、
伏見城や阿濃津城を攻めていますが、
父直茂の命で東軍に寝返り、
龍造寺家は所領を安堵されました。
高房の死後に正式に佐賀藩主となった為、
龍造寺家から鍋島家への政権移行に努め、
家臣団に起請文を提出させています。
大坂の陣や島原の乱にも出陣していますが、
島原の乱では抜け駆けを行い、
幕府から半年の閉門処罰を受けました。

つづく。
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