(映画)サムライマラソン

安政遠足を題材にした「幕末まらそん侍」を、
ジェレミー・トーマスが映像化を企画し、
監督をバーナード・ローズが務め、
2019年に公開された「サムライマラソン」。
何故かこの映画について全く知らず、
タイトルで安政遠足モノと判断して、
事前情報もなくDVDを借りましたが、
借りたは良いものの視聴する時間がなく、
レンタル期間の2週間近くで急いで視聴。
その間にどんな映画かネットで調べると、
外国人が制作しているものとのこと。
更に調べると企画のJ トーマスは、
十三人の刺客」や「一命」に携わったらしい。
但し監督のB ローズは一見すると、
日本を題材にした作品は無い。
これは余りリアルさは追及出来ないし、
するべきではない映画でしょう。
そんな感じで視聴しました。


小説はあくまで安政遠足を軸とし、
その参加者らがそれぞれの思惑で参加。
彼らがドタバタ劇を繰り広げますが、
恙なく安政遠足は完了しています。
それに比べてこのサムライマラソンでは、
幕府からの刺客が攻めて来て、
遠足どころではなくなってしまう。
映画なので改変は仕方ありませんが、
全くの別物と考えた方が良いでしょう。
お話としても我々日本人からすると、
あり得ないような設定が散見されますし、
登場人物達の思考が判り辛く、
素晴らしい映画だとはとてもいえません。
雪姫(小松菜奈)は何をしたかったのか?
陣内(佐藤健)は何故幕府を裏切ったのか?
軸であろうこの2人の行動理由が不明で、
ちょっとポカンとしてしまう。
おてんばな雪姫は広く世界が見たいと、
男装して脱藩(?)したのだろうとか、
偽装ながら長年仕えていた藩を裏切れず、
陣内は隠密らと対峙したのだろうとか、
自分で脳内補完しなければなりません。
脚の早い足軽上杉(染谷将太)とか、
隠居を命じられた栗田(竹中直人)も、
設定の割に居ても居なくても良いし、
色々と勿体ない気がしました。
とはいえ遠足中に城がガラ空きとなり、
その隙を突いて刺客が攻めて来る等、
上手に考えられているし、
アクションシーンも悪くない。
何より海外の市場を意識して、
外国人受けするアクションにする事は、
決して悪い戦略ではないと思います。
仮に登場人物が全て西洋人で、
西洋のお城で武士を騎士に変更し、
雪姫もディズニープリンセス風ならば、
我々も違和感なく観れたかも?
たぶん本音は聞けないのでしょうけど、
役者らは撮影中に「それ違うだろ・・」と、
密かに思う事は絶対あった筈。
どんな気持ちで演じてるのでしょう?
何年後かに誰か発言して欲しいものです。

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