「木曽路はすべて山の中である。
あるところは岨づたひに行く崖の道であり・・」
有名な「夜明け前」の書き出しですが、
殆ど木曽路については知りません。
出身者である島崎藤村がそういうのですから、
たぶん「すべて山の中」なのでしょう。
「夜明け前」は幕末から明治初期の馬籠宿で、
主人公青山半蔵が理想と現実に苦しみ、
やがては精神を蝕んで発狂するという物語。
木曽路という山の中である故に、
夜明けは他所よりも遅いのかもしれない。
そもそも夜明けが近づいているのか?
それは誰にもわかりませんが、
木曽路に殆ど行った事が無い僕には、
現在もまだ夜明け前なのでは?と感じる程、
それ程重々しい雰囲気がありました。
※流石にそれは無いと思いますが。
島崎の実父島崎正樹をモデルにしており、
彼は憂国の士であったようですが、
明治維新後も周辺で変革は起こらず、
挙句に精神を蝕まれて放火事件を起こし、
座敷牢に入れられて死んでいます。
主人公青山半蔵も同様に苦しみ、
寺に放火して座敷牢に監禁され、
徐々に衰弱して廃人となって死去。
常に暗く常に苦しみが続きますし、
文章も長いし古い言い回しで読み辛い。
読んでて何度も心が折れそうになりました。
これは名作なのかもしれません。
但し二度とこれを読みたくはないですね。
■関連記事■
・「長州征伐」萩原新生
昭和16年刊行の古い小説。
・「世に棲む日日(四)」司馬遼太郎
幕末長州を描いた長編小説の最終巻。
・「神剣 人斬り彦斎」葉室麟
河上彦斎を主人公にした小説。
