豊臣秀吉は織田信長の政策を継承し、
キリスト教の布教を容認しており、
イエズス会に布教の許可を与えていましたが、
天台宗の僧で医師の施薬院全宗の進言を受け、
バテレン追放令を発布しました。
しかし秀吉は積極的に追放は行わず、
貿易の為に継続してイエズス会を利用。
イエズス会も大々的な布教活動は控え、
ささやかな布教に終始した為。
追放はされる事無く布教も黙任され、
時には支援も行われたようです。
秀吉はその後フィリピンの制圧を目論み、
これを統治するスペインと関係は悪化。
同じ頃にスペイン系のフランシスコ会は、
修道士ペドロ・バプチスタを日本に派遣し、
バプチスタは名護屋で秀吉に謁見しました。
秀吉は彼らを入貢使節とみなし、
京都での教会設立を許可しますが、
バプチスタはそこで精力的に布教を開始。
仏教や神道の在来勢力がこれを脅威とし、
彼らに対する警戒を強めます。
そんな中でサン＝フェリペ号事件が発生。
スペインの領地獲得方法を船員が語り、
※スペイン国王は宣教師を世界中に派遣し、
布教でその土地の民を教化し、
その後に信徒をスペインに内応させて、
兵力をもってこれを征服したとのこと。
この発言が問題となり禁教令が発せられ、
バウチスタらフランシスコ会の６人と、
イエズス会関係者３名、
日本人信徒１５人が捕らえられて、
長崎で処刑される事が決定。
その道中でイエズス会の世話人１人と、
フランシスコ会の世話人１人も捕縛され、
計２６人が長崎に到着しました。
彼らは通常の刑場ではなく、
西坂の丘での処刑が決定。
ゴルゴダの丘に似た場所での処刑に、
彼ら一同は喜んだともいう。
西坂の丘は現在西坂公園となっています。
「日本二十六聖人殉教祈念碑」。
LAUDATE DOMINUM OMNES GENTESと、
※全ての人と主を褒め称えよ。
最上部に刻まれてたレリーフで、
殉教した下記の２６人の像が並びます。
左から。
S.PAULUS SUZUKI
聖パウロ鈴木(尾張)
S.GABRIEL
聖ガブリエル(伊勢)
S.JOANNES KINUYA
聖ヨハネ絹屋(京都)
S.THOMAS DANKI
聖トマス談義(京都)
S.FRANCISCUS KICHI
聖フランシスコ吉(京都)
S.JOACHIM SAKAKIBARA
聖ヨアキム榊原(大坂)
S.THOMAS KOZAKI
聖トマス小崎(伊勢)
S.BONAVENTURA
聖ボナヴェントゥラ(京都)
S.LEO IBARAGI
聖レオ茨木(尾張)
S.MATHIAS
聖マチアス(京都)
S.FRANCIS DE S.MICHAELE
聖フランシスコ デ サン ミゲル(スペイン)
S.FRANCISCUS BLANCO
聖フランシスコ・ブランコ(スペイン)
S.GUNDISALISIS GARCIA
聖ゴンサロ・ガルシア(インド)
S.PHILIPPIS A JESU
聖フィリッポ・デ・ヘスス(メキシコ)
S.MARTHINUS AB ASCENSIONE
聖マルチノ デ ラ アセンシオン(スペイン)
S.PETRUS BAPTISTA
聖ペトロ・バプチスタ(スペイン)
S.ANTONIUS
聖アントニオ(長崎)
S.LUDOVICUS IBARAGI
聖ルドヴィコ茨木(尾張)
S.JOANNES SOAN DE GOTO
聖ヨハネ五島(五島)
S.PAULUS IBARAGI
聖パウロ茨木(尾張)
S.PAULUS MIKI
聖パウロ三木(摂津)
S.JACOBUS KISAI
聖ディエゴ喜斎(備前)
S.MICHAEL KOZAKI
聖ミカエル小崎(伊勢)
S.PETRUS SUKESHIRO
聖ペトロ助四郎(京都)
S.COSMAS TAKEYA
聖コスメ竹屋(尾張)
S.FRANCISUS
聖フランシスコ(京都)
「日本二十六聖人殉教跡」。
２６人が処刑された十字架の場所には、
椿が植えられていたようですが、
禁教が厳しくなるにつれて、
忘れ去られてしまったようです。
1862年(文久2)にローマ教皇ピオ９世は、
殉教した２６人を列聖させており、
その後に大浦天主堂が建てられますが、
これは日本二十六聖殉教者聖堂が正式名で、
二十六聖人に捧げられた名でした。
聖堂は殉教地であるこの場所を向いており、
当時から場所は特定されていたようです。
「聖フィリッポ西坂教会」。
西坂公園に隣接する二本の塔を有する教会。
教会名は２６人のひとりフェリペから。
彼はメキシコ人初の聖人であり、
メキシコシティーの守護聖人となっています。
十字架に架けられた際に首の縄が締まり、
窒息死寸前だった為一番に処刑されたという。
この教会のある場所が、
浦上街道の始点とされていますが、
これについては別記事とします。
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