アーネスト・サトウ著
「一外交官の見た明治維新」によると、
下関戦争の講和後の元治元年8月27日、
伊藤博文に西洋風料理で接待されています。
出された料理は6品。
1.煮たロックフィッシュ
2.鰻の焼いたもの
3.すっぽんのシチュー
4.アワビの塩蒸
5.鶏肉の煮たもの
6.米で作った甘いビールに漬けた
未熟な柿の皮を剥いて四つ切りにしたの
これらの再現企画があったりしますが、
サトウは美味しくなかったとしており、
忠実に再現は出来ないでしょう。
では実際どんなものだったのか、
ちょっと考えてみました。
1.煮たロックフィッシュ。
ロックフィッシュとは根魚の事。
根魚は岩場の生息する魚の事で、
カサゴなど肴を指しています。
これらはどこでもとれる魚ですし、
僕もよく釣っていた記憶があります。
この根魚が何かはわかりませんが、
カサゴかメバル、アイナメ辺りでしょう。
サトウはその魚を切るのを、
大変苦労したと言っています。
煮物ってやわらかいはずですが、
それなら甘露煮か佃煮?
でもそれらは小魚を使いますので、
そうなると干物かもしれません。
砲撃戦で海峡は漁ができなかったので、
干物を使ったという可能性もあり、
総合すると干物の煮たものと思われます
2.鰻の焼いたもの。
これはウナギの蒲焼で間違いないでしょう。
サトウも旨かったと言っています。
3.すっぽんのシチュー。
クリームシチュー等をイメージしますが、
シチューは煮込み料理の総称でもあります。
いわゆるシチューではないので、
すっぽんの煮込み料理だったと思います。
これもサトウは旨かったと言ってます。
4.アワビの塩蒸。
サトウはお話にならないと言っていますが、
そんなにマズくできる食材ではないので、
単純に好みに合わなかったのでしょう。
5.鶏肉の煮たもの。
サトウは食べずに連れに進めたとの事。
相当食べにくかったということで、
骨付きだった事は間違いないでしょう。
骨付きの鶏肉を煮た料理って何でしょうね。
とにかく美味しくないし、
食べにくいものだったのでしょう。
6.米で作った甘いビールに漬けた
未熟な柿皮を剥いて四つ切りにしたの。
デザートでしょう。
米でつくった甘いビールって甘酒?
「柿の甘酒漬」は昔から存在するので、
それを出したんじゃないでしょうか?
サトウはこれを絶賛しています。
サトウが美味しいと感じたものは、
「ウナギの蒲焼」と「すっぽんの煮物」。
そしてデザートの「柿の甘酒漬」。
味の濃そうなものがお好みのご様子。
下関の味付けは上方に近いので、
基本的には薄味。
魚もアワビも鶏肉も薄味でしたね。
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