佐世保市の針尾島は複雑な海岸線を持つ島で、
九州本土とは狭い早岐瀬戸で分けられており、
6本もの橋が架けられて殆ど陸続きの状態。
有名なテーマパーク「ハウステンボス」は、
実はこの針尾島にありますが、
訪れた人達は「ハウステンボス」が島だとは、
気が付かないのではないでしょうか?
その針尾島に儒学者楠本端山の旧宅があります。
「楠本端山旧宅」。
平戸藩の在郷藩士楠本養斉が建てたもので、
その嫡子であった楠本端山は学問に秀でて、
藩校維新館に学び広瀬淡窓や草場佩川、
佐藤一斎や大橋訥庵など一流の儒者と交わり、
維新館の教授、藩主侍講などを務めます。
維新後は平戸藩権大参事、廃藩後は県に出仕し、
明治15年に弟楠本碩水と共に鳳鳴書院を設立。
針尾島で子弟の教育に尽くしました。
鳳鳴書院には高名な端山の教えを乞おうと、
全国から多くの門人が集まったという。
旧宅は傷みが酷いようですが、
修繕している様子もみられました。
旧宅の隣には復元された鳳鳴書院があります。
「鳳鳴書院」。
当時はここから約500m北側にあったとされ、
写真や資料を基に昭和50年に復元されたもの。
楠本端山旧宅の傍にあります。
端山によって開かれた鳳鳴書院でしたが、
その端山は翌年に中風で死去してしまい、
鳳鳴書院は弟の碩水が引き継ぎました。
この碩水も端山に劣らぬ儒学者だったようで、
端山亡き後に鳳鳴書院の名は全国的に轟き、
「針州の僻地に一大学府出現の観あり」
と称される程であったようです。
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