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つづき。
一、3月14日、雨。
卯前、①矢掛驛を発す。
道は猿懸古城を経て、
※長府藩藩祖穂井田元清の居城跡。
②河邉驛に至りて竹笨車に乗る。
岡山県倉敷市 川辺宿跡
この日は雨が甚だしく泥で滑り、
河邉川や高松城の旧跡を観る事が出来ず、
非常に残念であった。
③板倉驛に至りてまた歩く。
岡山県岡山市 板倉宿跡
これより備前の国にして、
その2郡は代官佐々井半十郎の管轄。
備前の国に入り④岡山に宿す。
岡山県岡山市 岡山宿跡
池田候の居城なり。
町人街や武家街を覗いてみると、
文武が行き届いている風で、
熊澤蕃山が執政していた時の様だという。
本当であろうか?
※高松城は清水宗治が守った城で、
羽柴秀吉が水攻めを行った場所。
熊澤蕃山は池田光政の執政を務め、
農業政策を充実させた陽明学者。
一、3月15日、曇。
卯時、岡山を発す。京橋を過ぎ、
治水の略を観て吉井川を渡り、
⑤三石驛に宿す。
行程9里。吉井川は中国第一の巨川にして
能澤が治水した川だという。
一、3月16日、雨。
虎後、驛を発し三石、有年の二坂を越える。
三石坂の上に備播の界碑あり。
時に暁暗、時読むべからず。
有年坂は俗に播磨箱根と称す。
坂を下りて少し行くと⑥有年驛。
驛の側に制札場あって藩候の名を記し、
[越中]と書かれていた。
有年川、猩々川、阿宋川、手野川を渡る。
その間に脇坂淡路守、建部内匠頭、
刑部卿殿の領があった。
※龍野藩9代脇坂淡路守安宅、
林田藩9代建部内匠頭政和、
一橋家9代徳川慶喜の事。
道の左に脇坂の城(龍野城)あり。
⑦姫路城中に宿泊。
兵庫県姫路市 姫路城
兵庫県姫路市 姫路宿跡
酒井雅楽頭の居城なり。
※姫路藩6代酒井雅楽頭忠宝。
広い平野で城下は繁盛していた。
手野川は城から1里。
西側の守りとなっている。
3/14~3/16の行程。
つづく。
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