北海道松前郡 松前城①

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松前城は日本最北端日本式城郭にして、
福江藩石田城(記事はこちら)と並んで、
江戸時代の最後期に建てられた城です。
あえて日本式城郭と表現した理由は、
もっと北に同じく松前藩が建設した館城や、
函館の五稜郭などもあり、
※館城は陣屋形式、五稜郭や四稜郭は稜堡式城郭。
日本式城郭としては、松前城が最北端というわけです。

松前藩の藩主家である松前家は、はじめ蠣崎家を名乗り、
蝦夷管領安東家に任命されて、
渡島半島の南部を支配していました。
戦国時代の当主蠣崎慶広豊臣秀吉奥州仕置の際に、
主家の安東実季と共に上洛。
この時に前田利家ら秀吉配下の大名に取り入って、
単独で秀吉と謁見し、所領の安堵と官位任官を得て、
主家である安東家より独立しました。
その後、豊臣政権下で九戸政実の乱文禄の役に出兵し、
蝦夷地の全地域の徴税を認める朱印状を得ています。

秀吉が没すると徳川家康に臣従し、姓を松前に改めました。
蝦夷は稲作が出来ませんでしたが、
アイヌ交易の独占権を公認され、無高ながら大名となります。

松前藩は蝦夷地徴税とアイヌ交易が認められているとはいえ、
実際の支配下は、和人地と呼ばれる渡島半島南部のみで、
稲作ができない為、家臣達の俸禄は、
アイヌとの商場の割り当てで行われ、
割り当てられた商場で交易した商品を売って、
金銭を得るカタチでした。

とはいえ武士の商売は、大抵上手くいかないもので、
場所請負制という商人に交易を代行させる方法が取られ、
その利益一部を運上金として得るようになります。

江戸時代中期になると、
ロシアが通商を求めてくるようになった為、
幕府は松前藩から蝦夷地を没収し、
代わりに武蔵国内の5千石を与え、
3500両が毎年支給されます。
これは一時的な借り上げの予定でしたが、
期限が過ぎても返却されず、
陸奥国梁川9千石へ転封させられてしまいました。

無高とはいえアイヌとの交易で、
実質数万石規模であった松前藩には、
厳封処分に等しかったようです。
代々交易の運上金で運営していたわけですので、
石高制度に対するノウハウは無く、
藩、家臣共に苦労することになります。
松前藩(改め梁川藩)は旧領復帰を働きかけますが、
結局、復帰が叶ったのは15年後でした。

幕末の藩主松前崇広は、北方警備強化を命じられ、
新たに城を築城することを許されます。
松前藩の藩庁は福山館と呼ばれる陣屋でしたが、
これを大規模に拡張して、
砲台を伴う石垣造りの本格的な城塞の建築が行われ、
安政元年に松前城が完成しました。
福山城とも呼ばれています。

松前観光協会の方と別れ、松前城を散策します。

沖之口門跡」。
その名のとおり海側からの入口なのですが、
大きさからしてこの門が外郭の正門なのでしょう。


五番台場跡」。
松前城の外郭には、海側に台場が設置されていました。
さすが幕末に造られた城といったところですが、
残念ながら松前城を攻撃したのは旧幕府軍で、
東側の陸地よりの攻撃でした。
とはいえ松前城外郭の砲台台場は、
この城の大きな特徴のひとつです。
しっかり大砲のレプリカを設置するなどすれば、
観光客も呼べるんじゃないでしょうか?


五番台場から法華寺(記事はこちら)を望む。
※矢印の位置が法華寺。
旧幕府軍は法華寺の墓地の墓石をどけて台場を作り、
松前城を砲撃しています。
目と鼻の先といったところですね。


天神坂門」。
松前城の東側の門で、六番と七番台場の間に位置し、
天神坂と呼ばれる急な階段坂の頂上にあります。


三本松土居」と「搦手二ノ門」。
木橋を渡るとエントランス的な空間と、
中央に松が植えられた土居があり、
土居周りを一周できるようになっています。
こういうのは意外とありそうで、
実はあまり無いのではないでしょうか?


松前城資料館」。
多門櫓のあった場所で、
現在は復興された三重櫓への入口となっています。


お金を支払って入場すると地下道へと続き、
いきなり三重櫓の地下室へ出ます。
なんか変な感じですね。
三重櫓は鉄筋コンクリート製で、
藩や北前船の資料が展示されています。


本丸御門」と「三重櫓」。
三重櫓は復興天守ですが、本丸御門は現存です。


本丸表御殿玄関」。
松前城本丸にあった政庁の表御殿は、
廃城後は小学校として使用されていましたが、
その後も新校舎に建て替えられた際には、
この玄関部分のみが残されて、
昭和57年まで使用されました。
現在は保存の為に本丸御門の横に移築されています。

こちらからは本丸跡へ行けなかった為、
資料館の敷地を出て裏から本丸跡へ。

つづく。
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