伊庭八郎の征西日記⑨

つづき。
////////⑨////

4月15日。
晴れ。朝稽古に出席。
帰った後で加藤氏宅に寄る。
八ッ時過ぎに氏宅に行き、
しるこを馳走になり風呂にも入った。
帰った後、当番で出勤。兒玉氏が来る。
今堀氏がを持ってくる。
加藤氏らも焼鯛を持ってきて、
お手扶持5両〇朱を頂いた。
※〇の部分は虫食いで不明。
 お手扶持を頂いたので、
 鯛パーティといったところでしょうか?

4月16日。
朝稽古に出席して帰宅。
池田甲斐守殿からお迎えが来て、
稽古に出席。
同勤の方が4~5人いた。
榊原氏、大前氏も出席。
浅井氏は大前氏と、
私は榊原氏と試合をする。
三橋隻三郎殿がを持って来た。
三枝氏は梅干しを少々持って来た。
父上は夕番。
※池田甲斐守が誰なのか理解できていない。
 講武所総裁池田長顕は甲斐守ですが、
 この時はすでに鬼籍に入っています。

4月17日。
朝、御城に稽古に出席。
7本程試合した。九ッ時に帰宅。
三木氏が阿州藩の江戸藩邸に行くと、
挨拶に来る。
昼食後に浅井氏、筒井氏、
三郎と共に風呂に入りに行く。
稽古着が出来たので、
三橋氏、中根氏が持ってくる。
三橋氏はみりん1壺、
赤貝7つも持って来たので、
お菓子をお返しにあげる。
小川氏、柴山氏が菓子を持って来た。
湊氏宅に行く。古文真宝を購入。
代金は300銅。
※古文真宝は中国の詩文集。

4月18日。
雨。夜に気分が悪くなり、
朝には更に悪くなって一日中寝込んだ。
※風邪か?赤貝にあたったのか?

4月19日。
晴れ。不快は続き、
今日の当番はお休みさせてもらう。
湊氏、中根氏が見舞いに来た。
医者が来て今日から薬を飲む。
湊氏がアワビを持ってきた。
吉松氏、三橋氏、三枝氏、氏が来た。
※病人に貝類はマズいんじゃないかな?

4月20日。
晴れ。
忠内氏が煮豆を、木戸氏がカステラを、
三枝氏が雪おこしを、
戸田氏がようかんを見舞いに持って来た。
墨場必携を1分2朱で、
生ちぢみの帷子関ノ兼〇の脇差を、
1両2分2朱で購入。
※甘いものをお見舞いに頂いておりますが、
 本人は元気になったのか、

 買い物を楽しんでおります。
 墨場必携は書道の参考書。

4月21日。
晴れ。朝、父上が明け番にて帰宅。
父上は戸田氏の親子、今堀氏、湊氏と共に、
嵐山辺りにお出かけ。
浅井氏、近藤氏は御城で学問。
体調は非常に良くなった。
桂川にて獲ってきたを、
清水氏は少々差し上げる。
※体調が良くなって良かったですね。
 鮎は誰が獲ったのかな?

4月22日。
晴れ。朝、父上は御城の稽古に出勤。
近藤釜五郎殿がカステラを持って来た。
鈴木氏が菓子を持って来た。
風呂に入る。三橋氏が葛もちを持ってくる。
加藤氏が肴を持ってくる。
中根氏が来る。
不破氏がシジミを持ってくる。
菓子をお返しする。
忠内氏が来る。
お隣さんがしるこを少々持って来た。
近鐘氏が来る。
※まあ沢山の人が色々と持ってきましたね。
 不破氏、病人に貝類はダメだって・・・。
 お隣さんにまでしるこを頂きました。
 ちょっと作り過ぎたから・・的な感じ?

4月23日。
曇り。当番につき浅井氏と三郎が出勤。
自分は今日も休み。
父上は昼後に大丸に買い物に行った。
大淵氏が見舞いに来た。
扇屋が来て鐵扇3本、滋扇1本買う。
代金2分。
忠内氏と兒玉氏が煮しめを持って来た。
天野氏、梶川氏が来た。
これらは私の見舞いである。
兒玉氏にお返しにカステラを差し上げた。
戸田氏には煮しめを少々差し上げた。
父上が端物の品々をそろえてきて、
私に一着買ってくれた。
※体調良くなったのじゃないのかな?
 未だ沢山のお見舞いが・・。
 父上も着物を買ってくれて幸せ者。

4月24日。
晴れ。体調は大いに良い。
浅井氏と筒井氏が明け番。
父上は稽古の行く。呉服屋が来たので、
浴衣紗の着物を購入。
中川氏が花菖蒲を持って来た。
戸田氏が煮豆を持って来た。
三枝氏、近鐘氏が来た。父上は当番。
※お見舞いに初めてお花が登場。

4月25日。
昨夜は雨が強かったが、朝は晴れた。
父上は明け番で早朝帰ってくる。
大渕氏が見舞いに来た。
父上は皆と稽古に行く。
近鐘氏が来て昼食を食べ、
昼後に髪を結った。
澤甚うなぎを1分2朱買う。
他の3人が来た。
戸田氏が来て足袋を5足買ってきてくれた。
五郎兵衛に1朱と24文渡して、
鰹節を買ってきてもらい、
お礼に足袋1つあげる。
※大好物のうなぎを持って来たのに、
 持って来た3人は誰か書かれていません。

4月26日。
晴れ。昼後に雨。父上が稽古で出るので、
自分は今日は見学に行く。
村上辰太郎殿が桑酒一升を持って来た。
忠内氏がしるこを持って来た。
筒井氏が来た。
父上がうどんを買って来た。
夕方、三橋氏が、
新版よしこのふしの本を持って来た。
江戸表にも御扶持が届いたとの事。
※リハビリで稽古の見学。
 よしこのふしは都都逸の本らしい。

4月27日。
雨。今日は上様の御参内が延期になった。
昼後、山村氏が来たので酒を出した。
鈴重氏も来た。
を買う。1朱150文。
鈴木氏が2本持って来た。
勝左馬次郎殿が来たので、
桑酒を差し上げる。
高坂にて唐宋八大家文を1両1分で買う。
浴衣が出来上がってきた。
当番につき三郎と筒井氏が終日居残り。
浅井氏が夕方出勤。
※唐宋八大家文は唐宋文人8人の論文。
 先日買った浴衣が出来上がっています。

4月28日。
雨。父上は当番。
本日は小十人組剣術御上覧試合なので、
六ッ時半に交代する。
三郎、筒井氏、浅井氏が明け番。
湊氏宅の行く。今日から稽古に出席。
昼後、柴田庄助殿が、
砂糖漬け1箱を持って来た。
先日買った古文真宝の代金300文を、
支払う。
高坂にて玉篇字引を1両で購入。
昨日、実家に出した書状を確認。
父上が大丸で買って来た、
私と三郎の夏地の襦袢1つと、
木綿縮単衣1つが届いた。
戸田氏宅へ三郎と行きしるこを頂戴する。
三枝氏と駒氏が来た。
※病後、初出勤。玉篇字引は漢字辞典。
 実家へ手紙を出していますね。

4月29日。
雨。今日は上様の御参内で、父上はお供。
忠内氏は警護。自分は不参加であった。
中野氏が鶏卵を持って来た。
稽古に出席し、留守の間に書状が届く。
父上は日暮れにお帰り。
※上様参内の時でも非番の者は、
 出席しなくても良いのですね。
 江戸時代は意外とホワイトです。
 留守の間に手紙が届いていますが、

 実家からでしょうか?

つづく。

////////⑨////

■関連記事■
試撃行日譜①
 高杉晋作が帰藩ついでに遊学。
松陰の九州遊学①
 松陰の九州遊旅。
白石正一郎のお伊勢参り①
 白石正一郎のお伊勢参りの行程。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です