白石正一郎のお伊勢参り⑤(東海道より京都へ)

つづき。
////⑤/////

安政3年7月10日。
早朝、①椋本の宿を出立。
宿の主人に貰った奈良漬を持っていく。
1里ばかり行って楠原宿
三重県津市 楠原宿跡
更に1里で②関宿
三重県亀山市 関宿跡
関は東海道の宿場町でここからが東海道。
美景に絵師が筆を捨てた③筆捨峠を越え、
坂下宿から駕籠に乗って2里半。
三重県亀山市 坂下宿跡
鈴鹿峠を越えて土山で昼食にする。
さらに2里半行って④水口に入った。
ひのや金六の宿に泊まる。

安政3年7月11日。
午前5時頃宿を出て3里で⑤石部
さらに3里半で⑥草津に入る。
滋賀県草津市 草津宿跡
藤屋松兵衛の宿で昼食。
2里半行って瀬田。駕籠で2里半行き、
石山の柳屋某の宿に宿泊。
石山は賑やかで、
 旅籠は少し高いが酒は大量に出す
伊勢の八羽老人がそう言っていたが、
粗末でもてなしも悪い宿だった。
※宿も色々あるでしょうから、
 当たり外れがあったでしょう。
 安宿に泊まるとそれ相応なのでしょうね。

安政3年7月12日。
石山寺を見物。
素晴らしい景色でお寺にはもったいない。
川舟で瀬田の唐橋の下を通り、
膳所の城を左に観る。
滋賀県大津市 膳所城跡
湖上を走って⑧大津の町。
滋賀県大津市 大津宿跡
至って賑やかな町で三井寺を見物した。
逢坂の関を越えて走井で昼食。
名物の餅が美味かった。
午後3時頃に⑨京都到着。
京都府京都市 三条大橋
三条豊後屋友七の宿に泊まる。
※白石が珍しくお寺に行っています。
 しかし神社は[参拝]ですが、

 寺は[見物]ということで、
 観光として景色を見に行ったようです。
 お寺にはもったいないが面白いですね。
 走井の餅は[走り井餅]でしょう。



7月10日から12日の行程。

これより京都滞在。
26日間の長期にわたり滞在しています。

安政3年7月13日。
下男由五郎を荷物を取りに大坂に行かせる。
他に綿屋長兵衛に預けた20両の受取や、
下関への手紙を急飛脚に出す事も託ける。
昼を過ぎると茶漬けを持ってきたので、
宿賃はいくらか聞くと素泊2匁5分と、
朝夜付き3匁5分で昼食は別に1匁という。
菜の数は言わないから安くしろというと、
昼の茶漬け付き2匁5分でどうかという。
宿貸2匁昼食5分で分けてくれと聞くと、
若い亭主が一泊二食付き2匁5分
昼食5分の計3匁でどうかというので、
これで手を打つ。
午後2時頃から妻と近場を見物。
五条大橋近くで一盃飲んで帰った。
※さすが商売人。しっかり値切っています。
 今迄は値段交渉をしませんでしたが、
 今回は長期滞在するつもりなので、

 これは当然でしょう。

つづく。

////⑤/////

■関連記事■
試撃行日譜①
 高杉晋作の遊学日記。
松陰の北浦巡視①
 吉田松陰の北浦巡視の行程。
伊庭八郎の征西日記①
 伊庭八郎は徳川家茂上洛に随行。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です