花燃ゆ 総評一

僕はこの「花燃ゆ」期待していました。

杉文(楫取美和子)という知られていない人物ですが、松陰の妹ということで、本人は活躍しないまでも周りの綺羅星の如くいる志士らが、縦横無人に活躍する群雄伝のようなものになるんじゃないかと想像しました。

江〜姫たちの戦国〜」での失敗から、主人公がでしゃばりすぎることは無いだろうとも思っていました。「八重の桜」でも、前半はほとんど兄の山本覚馬が活躍し、八重は脇役でしたがそれが良かった。
実は心配はその一点だけでした。
主人公がでしゃばりすぎる」事さえ気を付ければ、天下のNHKですし、ある程度の作品を作ってくれるだろうと考えました。ですが大間違いでした・・・・・。

ドラマですので、あそこが違うここが違うと目くじら立てて怒るのはナンセンス。とはいえ歴史ある「NHK大河ドラマ」ですので、あまりにも湾曲した内容になってしまうと、視聴者も納得しません。そもそも歴史モノのドラマは、史実を踏襲してその中で「わかっていない部分や、諸説ある部分」をその物語の作者がうまくフィクションでつなげていくものです。わかっていない部分をどう面白く演出するかが、作家の腕の見せ所でしょう。

でも、これは歴史というものをかなり勉強しなければなりません。そもそも「わかっていない部分や、諸説ある部分」を知らなければ話になりませんね。この「花燃ゆ」は「幕末を知らなかった人達が、一夜漬けで猛勉強して作ったドラマ」です。

今回、原作無しのオリジナルドラマでしたが、近年の大河ドラマは原作無しがほとんどです。どういう理由かわかりませんが、原作を付けたがらない。原作者に払う原作料をケチっているのか?でも、しっかりした原作があるのと無いのでは、作品に大きな違いがあるのではないでしょうか?

やはり原作者は長い年月をかけてしっかり取材し、その歴史に愛を持って接しているわけで、脚本家がそのドラマを作るって決まってから勉強して脚本を書くものとは、根本的にレベルが違うものでしょう。

たとえれば、学生が試験の為に勉強した事と、その事柄に興味を持って知りたいと思って取材・研究を重ねた事とでは、深さが違うというようなもの。今回の脚本家達もけして素人ではなく、色々な現代劇の脚本をこなしたベテランですが、時代劇・・しかも史実を基にした作品のスキルはありませんでした。
そもそも幕末という時代の事を全く知らなかったんじゃないかと思う。そんな人達が何人集まろうと、デタラメな作品ができる事は当たり前。既にデタラメになることは決まっていたのです。僕は脚本家がどうとか全く知らなかったんで、こうなる事はわかりませんでした。詳しい人はこうなる事は予想していたのかもしれませんね。

総評2に続く。

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