第十七回 「松陰、最後の言葉」
はい。吉田松陰と井伊直弼が直接対決したというお話について、
そんなことに目くじらをたてるというのはとってもナンセンス。
野暮というもんです。
そりゃ幕府の大老と、いち外様の下級藩士が相見えることなんてないでしょう。
安政の大獄では、梅田雲浜、橋本左内ら志士が捕縛されていますが、
御三家や徳川一門、公卿などの大物達も受難しています。
実際でいえば梅田雲浜の嫌疑で捕縛された松陰ごときの取調べに、
いちいち出向くはずはないでしょう。
でも、これはドラマです。
井伊がたまたま松陰の取調べに出向いたとしてもいいじゃないですか?
問題は、そこでどういう会話が行われたかということ。
松陰は徳を欠いた政は亡国であると言う。
井伊は国を混乱させているのはお前たちではないかと言う。
それぞれの方針のズレが悲劇を招いたという象徴として、
この直接対決というドラマチックな展開はアリだったと思います。
そんなことより、伊藤が萩にいることのほうが気になった。
松陰の埋葬には、桂小五郎、伊藤俊輔、飯田正伯、尾寺新之丞の4人で行っています。
伊藤が江戸へ行くと言うことは、ドラマ中語られていましたが、
江戸に向かった描写はありませんでしたね。
重臣たちが、松陰の連絡役に晋作がなりそうなのを嫌がり、
わざわざ萩一番の嫁を探す高杉小忠太。
あせって近々祝言があるといっちゃうとこなんか、
なかなかの小物ぶりが良かったですね。
松陰処刑のシーンの前に、父や母の前に松陰が現れ、
松陰の死を連想させたのは良かったですね。
なんとも切ない雰囲気が出てました。
欲を言うなれば、刑の際に役人たちに声をかけるなどの堂々とした死に様を見たかったかな?
伊勢谷祐介の松陰は、外見的にはハマっていたと思います。
残念なことに、僕の想像する松陰はもっとポジティブで狂っていたので、
演技的には少々物足りませんでした。
とはいえ、この人の迫真の演技は、スィーツ大河と云われる「花燃ゆ」を、
間違った方向に進ませずにすんだと言えるでしょう。
ただいま 4 そうせい!
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