第四十九回 「二人の再婚」
あまり恋愛ドラマを観る事が無いので、
偉そうな事を言うのは控えたいのですが、
[花燃ゆ]は恋愛ドラマとしても、
微妙なのではないかと思うのです。
久坂が死んでから数話までは、
その死を悲しむ様子は感じられたのですが、
それ以降なんら引きずる様子は感じられず、
「きれいさっぱり前夫の事など、
忘れてよろしくやってる」風にしか、
見えませんでした。
途中より楫取素彦と不倫してるのではと、
におわすように「ついていく」だの、
「支えていく」だののセリフを散りばめ、
相思相愛の関係っぽく描かれ、
操を立てるなんて毛頭考えていない美和と、
妻がいながら妹を特別視する楫取が、
視聴者(最低でも僕は)を不快にさせました。
唯一よく思っていなかった久米次郎は、
今回いきなり訪ねてきて、
その反発心を自己解決してしまいます。
これで後顧の憂いなく、
美和と結婚できるようになった楫取は、
何が言いたいのか意味不明な言い回しで、
美和にプロポーズします。
美和は秀次郎が久坂家を継ぐということで、
一時萩に帰ります。
美和にしても後顧の憂いはなくなりました。
母と相談して求婚を受けることにした美和は、
群馬に戻り久坂の手紙を燃やそうとしますが、
そこに楫取が現れて忘れる必要はないと、
手紙を燃やすのを止めます。
そしてもう一度「妻になってくれ」と求婚し、
美和もそれを受けました。
今まで全然思い出すこともなかったのに、
この回でいきなりそういう行動をとっても、
視聴してる我々にはなんら説得力もなく、
ただただ寿と久坂がかわいそうだなと、
感じるだけでした・・・。
恋愛ドラマをあまり観ない僕ですが、
昔読んだ漫画「めぞん一刻」を思い出しました。
若くして夫に先立たれた響子という女性が、
アパートの管理人をすることになり、
そこの住人の五代という浪人生と、
ドタバタ劇の末に結婚するのですが、
優柔不断ながらも一途に思い続ける五代に、
響子は夫に操を立てて相手にしなかったが、
だんだんと意識するようになり、
五代の就職内定と共に求婚を受けます。
この中の感動的なシーンのひとつに、
無き夫の墓の前で五代が、
「正直言って、あなたが妬ましいです。
遺品返したところで、響子さん、
あなたの事忘れないと思う。
だけど俺、なんとかやっていきます。
初めて会ったときから、
響子さんの中にあなたがいて、
そんな響子さんを俺は好きになった。
だから、あなたもひっくるめて、
響子さんをもらいます」。
と言うシーンがあります。
これは漫画における名シーンとして、
今も語り継がれていますが、
やはりそれには過程が必要なわけで、
色々なエピソードを経てそこに至るから、
読者らは感動出来たのです。
今回の「手紙を焼く~プロポーズ」のシーンも、
かなり似たようなものなのですが、
過程が全く無いだけに陳腐としか感じられず、
今まで久坂の「く」の字も出さなかったのに、
美和がいきなり手紙を焼こうとしても、
なんら視聴者は共感することはないでしょう。
仮に冒頭か話末に「旦那様」の出だしで、
語りを毎回入れるなどの工夫で、
久坂の事を引きずっていると、
視聴者に思わせるような演出でもあれば、
少しは違ったかもしれませんね。
美和が久坂の手紙を残していたのは事実で、
楫取がそれを「涙袖帖」に纏めたのは有名な話。
楫取素彦と再婚する際に、
持っていくことを条件としたとされます。
久坂の「く」の字も出さなかった美和ですから、
語られるとおり手紙を焼くより、
手紙を持って行くこと条件とした方が、
まだ好感が持てたのではないでしょうか?
で、無事結婚が決まると、
程なくして鹿鳴館への招待が・・・・。
最終話へのおぜん立てが整いました。
次でやっと最期だ!早く総評が書きたい!
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